■有馬記念(G1・中山芝2500m)フルゲート16頭/登録20頭
【コース総論】中山芝2500m Aコース使用
・コースの要所!
★1番人気は連対率55.6%と高信頼度も、7〜12番人気あたりも侮れず。
★勝率が飛び抜けて高いのが馬番1〜4番。確実に先行できる馬は買い。
★馬番5〜8番が人気の盲点。後方に置かれる馬以外は買いがセオリー。
レースの施行回数が非常に少ないため、過去10年を対象として集計を行っている今回のコースデータ分析。それでも、フルゲートで行われたのは18レースに過ぎない。信頼度にいささか問題アリだが、それでもかなり面白いデータが抽出できたので、いつも以上に注目していただきたい。
16頭立てにおける平均配当は、単勝1474円、馬連5257円、3連複2万6734円と、高くもなく低くもない水準。人気別成績を見ても、1番人気が連対率55.6%と高信頼度ではあるが、極端な人気薄を除き、まんべんなく走っている印象だ。高配当も十分に狙えるが、13番人気以下の「爆穴」には、さすがに手を出しづらいか。
次に枠番だが、ただでさえ外枠がキツい中山芝+コーナーの多いコースであるため、ハッキリと外枠不利。馬番13〜16番の複勝率は9.7%と、飛び抜けて低い。対照的に内枠である馬番1〜4番の勝率は、12.5%という圧倒的な高さ。これらのデータから「内枠有利+外枠不利」であるのは、間違いないといえる。
脚質については、思ったほど前有利でもないな──というのが素直な印象。さすがに4角11番手以下だと絶望的で、もっとも成績がいいのは4角2〜5番手の好位勢だが、中団からの差しも相応に決まっている。最速上がりを使った馬がキッチリ連対できているのも、その証左。好位〜中団のポジションが取れる馬であれば、問題はない。
そして今回、いちばん注目していただきたいのが、最後のデータである。先ほど内枠有利と述べたが、馬番1〜4番で真に狙うべきが「4角を5番手以内で回れる馬」であるのが、おわかりいただけるはずだ。こちらは枠番値プラス1.2と超優秀だが、これが6番手以下になると期待値は一気にダウン。脚質や陣営のコメントなどから、確実に先行できると信じられる馬だけを買うべきなのである。
また、ファンが内枠有利を意識しすぎている結果、じつは信頼度の面でまったく遜色のない馬番5〜8番が、猛烈に美味しい枠番と化しているのも見逃せない。まさに「盲点」で、12番人気以内かつ中団よりも前のポジションが取れる馬であれば、人気薄でも押さえておいて損はないはず。また、中団から差す馬の信頼度がもっとも高いのが、馬番9〜12番であるという点も、しっかり意識しておきたい。
【レース総論】有馬記念(G1) 過去10年
・レースの要所!
★1番人気の複勝率90.0%も、単オッズ3倍以上では30年近く未勝利。
★6歳以上馬は明らかに劣勢。ひとケタ馬番から先行できる馬が優勢。
★外国人騎手や元・地方騎手など、JRAプロパー以外のほうが好成績。
1番人気が[5-3-1-1]で連対率80.0%、複勝率90.0%と、鉄板級の信頼度を誇る有馬記念。そのわりに平均配当は馬連7490円、3連複3万3373円と高い水準で、それだけ「ヒモ荒れ」での決着が多いということだ。ちなみに1986年以降、単勝オッズ3.0倍以上の1番人気馬はトータル[0-3-2-2]と、30年近くも勝っていない。
目立っているのが、4歳以下馬の強さと6歳以上馬の不振。とくに6歳以上馬は明らかに劣勢で、その連対率はわずか2.8%と、大幅割引の対象となる。枠番と脚質については、コースデータ同様に「内から好位〜中団が取れる馬」が有利。決め脚が求められるレースであるため、前走での上がり3F順位が2位以内の馬は要チェックだ。
あとは、JRAプロパーの騎手よりも、外国人騎手や元・地方騎手のほうが好成績であるのも意識すべきポイント。とくに関東所属のプロパー騎手はイマイチで、期間内に勝ったのは2007年マツリダゴッホの蛯名騎手しかいない。前走クラス別では、当然ながら「前走G1組」が圧倒的に優勢。前走でG1以外に出走していた馬は、ほかによほどの強調材料でもないかぎり、期待薄である。
【馬場&血統総論】・現在の馬場
引き続きAコース。差しは届くが、基本的には前有利という印象を受ける。
・天候予測
金曜日から天候は回復。冷え込みもあって硬い路盤の良馬場になりそう。
・注目血統
ステイゴールド産駒◎、ハーツクライ産駒○、ネオユニヴァース産駒▲、キングカメハメハ産駒△
水曜日〜木曜日にかけて降雨がありそうな状況だが、おそらく金曜日には回復。日曜日までには馬場も回復して、好天のなかでレースが開催されそうだ。ただし、気になるのが気温で、週末はかなり冷え込みそう。開催が進んでエアレーションの効果も薄れ、硬い路盤で前が止まらない、先行有利の馬場が発生する可能性もある。
血統面は、有馬記念で圧倒的な強さを見せているステイゴールド産駒をトップ評価。それ以外では、ハーツクライ産駒やネオユニヴァース産駒も好成績を残している。キングカメハメハ産駒も、複勝率や回収率の高さはかなりのもの。ディープインパクト産駒はごくごく「フツー」の成績であり、昨年の結果を鵜呑みにしないほうが良さそうだ。
★出走登録馬・総論×各論 現在の中長距離路線における「ほぼベスト」のメンバーが顔を揃える、今年の有馬記念。引退レースとなるゴールドシップに、年度代表馬の座をかけた戦いにもなるラブリーデイ、中山が大得意の菊花賞馬キタサンブラック、素晴らしい充実ぶりを見せるショウナンパンドラなど、本当に楽しみな顔ぶれである。
最後の1枠はどうやらトーセンレーヴとなりそうで、ひそかにダービーフィズを狙っていた筆者としては、残念無念。あとは24日に行われる枠番の公開抽選を待つばかりだが、それにしても人気が読めない。netkeiba.comの予想オッズも、火曜日の段階では、なんとリアファルが4.8倍で1番人気となっている。
そんな大混戦の2015有馬記念。当データ分析がトップ評価するのも、じつはその
リアファルだ。キツい展開を最後まで踏ん張り通した菊花賞は、まさに「負けて強し」の内容。外国人騎手が騎乗予定の3歳馬で、菊花賞からの余裕のあるローテ、確実に先行できる脚質面など、プラス評価の項目数も非常に多い。あとは、ひとケタ馬番が引けるかどうか。
二番手評価は
ラブリーデイ。ジャパンCは3着に敗れたが、人気を背負って動かざるを得なかった展開を考えれば、あの踏ん張りは立派なもの。器用さがある馬なので、中山芝2500mへのコース替わりもプラスに出そうだ。この秋4戦目でさすがにお釣りはないが、ここでも主役級であるのは間違いなし。展開的にもかなり有利といえる。
三番手は
サウンズオブアース。ワンパンチ欠ける面があるのは否めないが、京都大賞典でラブリーデイと0秒2差、ジャパンCでショウナンパンドラから0秒3差と、この秋も力は見せている。血統面や脚質などプラス材料はかなり多く、ミルコの継続騎乗でひと押しがきけば、大番狂わせもありそう。「主な勝ち鞍・はなみずき賞」からのジャンプアップを期待したい。
四番手評価は、中山替わりでさらなる飛躍がありそうな菊花賞馬キタサンブラック。五番手は、ジャパンカップを制した女傑ショウナンパンドラ。ここまでが上位評価組で、以下はマリアライト、ルージュバック、ラストインパクト、トーセンレーヴという序列である。プラス材料の多さだけならゴールドアクターもトップクラスなのだが、同時にマイナス材料の多さも目立っており、扱いが難しいところ。悩んだ末に、無印評価とした。
そして、稀代のクセ馬・ゴールドシップも、ここは「消し」勝負を推奨。中山替わり、鞍上のスイッチ、血統面などプラスに評価した部分もあるが、いかんせん人気を考えると、割に合わないというのが正直なところだ。もっとも、データや常識が通用しない馬であるのは周知の事実で、この馬に勝たれるのであれば、それはそれで納得である。
■総論×各論・先週の馬券回顧
阪神11レース 朝日杯フューチュリティS(G1)
1着 15リオンディーズ
2着 11エアスピネル
3着 13シャドウアプローチ
1戦1勝馬なんぞデータで買える( ゜д゜)かあッ!……というわけで、当然のハズレ。複勝やワイドの軸にツーエムレジェンドを選びましたが、単勝オッズ167.9倍で3着馬から0秒1差の6着なら、上々の結果。有馬記念の直前に、こういう攻めた馬券が買えたのは良かった。大損を垂れ流し、さらに大恥までかいた気もする1年でしたが、今後はもっと「前のめり」な馬券をお見せする所存。どうか来年も、よろしくお願いします!
※コース&血統データは2005年以降、レースデータも2005年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。