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ほぼノーチャンスだがそれでも期待をかけたくなる馬(吉田竜作)

  • 2016年02月03日(水) 18時00分


◆牡馬クラシックで個人的に注目しているのはサトノダイヤモンドとスマートオーディン

 牡馬クラシックは今週のきさらぎ賞と来週の共同通信杯で大方の候補たちが出揃うことになりそう。その中でも個人的に注目しているのは「5億円対決」の主役・サトノダイヤモンドと次週登場予定の東スポ杯勝ち馬スマートオーディンだ。サトノはデビュー当初に注目こそ集めていたが、「大型馬だし、まだ緩さもある。道悪になるとどうか」と池江調教師は不安を口にしていた。そして、そのデビュー戦は重馬場。予想する立場としては、圧倒的な1番人気が予想される馬に“死角”があるとなれば…シメシメと喜んで評価を落とした。ところがどっこい。道悪を苦にするどころか、直線は馬場が重いことすら感じさせない伸びで完勝。この時点で記者としては“完敗”。もう負けるまで本命にすることにした。その後の自己条件戦の勝ちっぷりは更に磨きがかかり、阪神競馬場を訪れていた里見オーナーも「1番にならなければ意味がないから」と豪語するまでに。今回も馬券的妙味には薄いだろうが、極端なアクシデントがなければまず負けることはないと見ている。

 スマートは松田国厩舎らしく、東スポ杯の後も栗東に置いて調整された。最近のトレンドとしては短期放牧で心身のリフレッシュを図りつつ…なのだろうが、その点は実績のある厩舎だけに心配はないだろう。「これまでのメニューにプール調教を加えました」と松田国調教師。自慢の切れ味に、持久力が加わってくれば、難敵ハートレーらを相手にしても互角に戦えるのではないか。

 牝馬戦線は今週のエルフィンSがまず見もの。「もう回り道をしている場合ではない」と口を揃えるようにしてここへの参戦を決めたのがレッドアヴァンセの音無調教師とワントゥワンの藤岡調教師。レッドは鞍上に武豊を配したこともあって、中間には調教にも騎乗。「べた褒めしてくれた」とトレーナーもご満悦だった。「前走にしても相当な能力がなければできない勝ち方。ここを楽勝してもおかしくない」と相当な自信を見せている。ワンの藤岡調教師も「マイルまでなら守備範囲だが、逆に距離が延びてというタイプじゃない。桜花賞をと思っている馬だし、ここで賞金を加算しないと」と一歩も譲らない構え。共に「負けられない」1戦。どちらに軍配が上がるだろうか。

 この時点でデビューできていない、または勝ち上がっていない馬はほぼノーチャンス。ただ、それでも期待をかけたくなる馬がいる。それがエイシンヒカリの全妹エイシンティンクルだ。1月29日のゲート試験は「前の日の練習で入りも出も悪かったし、多分受けるだけですよ」と坂口助手も半ば諦めていたが、いざ本番となるとやはり血が騒いだのだろう。上手に出て見事に一発合格を決めた。「乗り味がいいし、同じ時期で比べても兄よりも体もしっかりしているし、バランスがいい」とは坂口調教師。すでに坂路でも速い時計が出ているように、あとは新馬戦の出走にこぎつけるだけ。期待の大器の出番を待ちたいところ。松田博厩舎のリュラも、トレーナーの定年前にギリギリ帰厩。今週の未勝利戦で復帰の予定だ。「落ち着きが出てきたし、体もふっくらしてきた」と松田博調教師。最後にゆかりの血統で…となるか。乞うご期待。

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