スマートフォン版へ

ウィリアム・マリンズはチェルトナム・フェスティヴァルで何勝するのか

  • 2016年02月10日(水) 12時00分


今季も2月7日現在で勝率.346という驚異的な数字で愛リーディングを独走

 欧州障害シーズンのハイライトとなるチェルトナム・フェスティヴァルの開催(3月15日〜18日)まで、あと1か月余りとなった。

 ハードル2マイル路線の総決算となるG1チャンピオンハードルやハードル3マイル路線の最高峰となるG1ワールドハードル、スティープルチェイス2マイル路線の集大成となるG1クイーンマザーチャンピオンチェイスやスティープルチェイス3マイル路線の頂上決戦となるG1チェルトナムゴールドCをはじめとした、個々のレースへ向けた話題もさることながら、メディアやファンの間で注目が高まっているのが、「ウィリアム・マリンズは今年、フェスティヴァルで何勝するのか」である。

 アイルランドを拠点とする障害のトップトレーナー、ウィリアム・マリンズ(59歳)は、日本でも、2013年の中山グランドジャンプをブラックステアマウンテンで制した調教師として、よく知られている。同年秋のジャパンCにシメノンを出走させてもいるから、ご記憶の方も多いはずだ。

 アイルランドで障害リーディングの座に輝くこと6度というトップトレーナーのマディー・マリンズの子息として生まれたウィリアム・マリンズ。アマチュア騎手チャンピオンの座に6度就いた後、調教師としての修業に本腰を入れ、父やジム・ボルジャーのもとでアシスタントを経験した後、1988年に開業。2000/2001年シーズンに自身初となるリーディングの座に就いたが、本格的にこの人の時代がやってきたのは、ヘッジハンターでグランドナショナル優勝を果たした2005年以降の、ここ10年ほどのことである。

 2007/2008年シーズンに2度目のアイリッシュリーディングを手中にすると、以降はその座を守り続け、今季も、2月7日現在で勝率.346という驚異的な数字を残しつつ、賞金部門でも勝ち鞍部門でもリーディングの首位を独走しているのである。

 マリンズ厩舎の馬たちが驚異的な活躍を見せたのが昨年のチェルトナム・フェスティヴァルで、まずは初日のメイン競走であるG1チャンピオンハードルで、管理馬が1着から3着まで独占するという、レース史上初めてとなる快挙を達成。更に4日間の開催を通じて8勝を挙げ、2012年にニッキー・ヘンダーソンがマークした7勝を破り、フェスティヴァル開催における調教師最多勝記録を樹立したのだった。

 それから1年が経ち、今年は果たして何勝するのかが、話題となっているのである。チェルトナム・フェスティヴァルに組まれているレースは、1日に7競走で、4日通算で28競走だ。

 ブックメーカーのオッズを見ると、マリンズ厩舎所属馬でいわゆる「オッズオン」という2倍を切る本命に推されているのが、初日のG1アークルチャレンジトロフィー(芝15F199y)のドゥーヴァン(セン6、父ウォークインザパーク)、G1チャンピオンハードル(芝16F87y)のフォーヒーン(セン8、父ジャーマニー)、G1メアズハードル(芝19F200y)のアニーパワー(牝8、父シロッコ)、2日目のG1クイーンマザーチャンピオンチェイス(芝15F199y)のアンデスコー(セン8、父デンハムレッド)、3日目のG2メアズノーヴィスハードル(芝17F)のリミニ(牝5、父パントルセレブル)と、5頭もいる。

 この他、初日のG1シュプリームノーヴィスハードル(芝16F87y)のミン(セン5、父ウォークインザパーク)、同じく初日のLRナショナルハントスティープルチェイス(芝31F170y)のブラックヘラクレス(セン7、父ヘロンアイランド)、2日目のG1ネプチューンインヴェストメントマネージメントノーヴィスハードル(芝21F26y)のベルシル(セン6、父キングズシアター)、3日目のG1JLTノーヴィスチェイス(芝19F198y)のキラフタフヴィック(セン7、父オールドヴィック)、3日目のG1ライアンエアスティープルチェイス(芝20F166y)のヴォートゥール(セン7、父ロバンデシャン)、G1ワールドハードル(芝23F213y)のヴルーンヴルーンマグ(牝7、父ヴォワドゥノール)、4日目のG1チェルトナムゴールドC(芝26F70y)のジャカダム(セン7、父セイントデセインツ)など、前売りで1〜2番人気に推されている複数の馬たちがスタンバイしている。

 そういうわけで、今年のチェルトナム・フェスティヴァルでマリンズ師が何勝するかを賭けの対象として売り出しているラドブロークス社は、6勝以下が3.25倍、7勝〜9勝が2.275倍、10勝以上が3倍、というオッズを掲げている。

 また、チェルトナム・フェスティヴァルにおける所有馬の成績次第で、見えてくるのがイギリスにおけるチャンピオントレーナー(賞金順)のタイトルである。

 現段階でのマリンズ師は、獲得賞金41万9926ポンドでリーディング17位と、首位を行くポール・ニコルス師の126万8730ポンドに大きく水をあけられているが、高額賞金の懸かるチェルトナム・フェスティヴァルで荒稼ぎをすれば、逆転もあながち不可能ではないのである。実際に、チャンピオントレーナーが誰になるかを賭けの対象にして売り出しているブックメーカー各社のオッズを見ると、ポール・ニコルス師が1.83倍から2.2倍であるのに対し、ウィリアム・マリンズ師が1.72倍から2.625倍と、ほとんど互角の人気なのである。

 これから益々ヒートアップしていく、チェルトナム・フェスティヴァル戦線。このコラムでも開催を間近に控える時期に、主要競走の展望をお届けしたいと思っている。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング