スマートフォン版へ

“不屈の新人” 森裕太朗騎手(3)『家族全員の目の前で念願の初勝利』

  • 2016年04月27日(水) 18時00分
彼が目指す将来のジョッキー像とは!?


競馬界一のど根性の持ち主(?)・森ジョッキーのインタビューも最終回。度重なるアクシデントにもめげず、晴れて騎手としてデビューした時はどんな気持ちだったのでしょうか。そして、彼が目指す将来のジョッキー像とは!?
(取材・文/大薮喬介)


ポリシーは「一度決めたらあきらめない」

――競馬学校を卒業して、騎手免許が交付されたときはすごくうれしかったんじゃないですか?

 4年間は本当に長かったので、やっとジョッキーになれたという気持ちでしたね。

――その苦労がこれからのジョッキー人生にきっと役立つでしょうね。デビュー戦は緊張されましたか?

 自分が思い描いていたレースができなかったのが悔しかったです。(鈴木孝)先生の指示通りに乗ることは、すごく難しいことなんだと思いました。

――師匠である鈴木孝調教師からは、何かアドバイスはあったんですか?

 自厩舎の馬は結構前々で競馬をすることが多いですし、先生からも「なるべくゲートを早く出て、先行集団についていけ」とアドバイスをいただいていました。デビュー日に乗ったレースは、だいたいゲートを上手く出せたんですが、その後の位置取りやコーナーの曲がり方など反省することが多かったです。先生からも注意をされたので、2日目はそこを意識して乗りました。コーナーは上手く乗れたと思います。

――デビュー週で何か感じたことはありますか?

 それなりに体力には自信があったんですけど、模擬レースと違って、実際のレースはすごく疲れるなと思いました。

――どのレースでも必死に先行集団に食らい付いていこうと、終始追っつけ通しでしたよね。さすがに疲れますよ。

 それもありますが、迷惑をかけないように周囲に気を配らないといけないのも疲れた原因だと思います。先生にも言われましたが、もっと体力をつけなければと思いましたね。ただ、最近はレースにも慣れてきて、だんだんと疲れなくなってきました。

――4月16日にコーディネーターで初勝利を挙げましたね。10番人気でしたが、自信はありましたか?

 はい。調教から乗せていただいていて、それなりに手応えはありました。スピードもあったので、初めての芝でも大丈夫だろうとは思っていましたね。あとは、競馬で結果が出せればいいなと。

――積極的に逃げての競馬でしたが、勝った瞬間はいかがでしたか?

 「やった!」というよりは、ホッとしたというのが正直な気持ちでした。同期がどんどん勝ち上がっていて、あせりもありましたからね。先生からも前に行くように指示をいただいていたので、結果を出せてよかったです。

――思い出の福島で初勝利ですね。

 馬主の方も小学校の頃からお世話になっている方ですし、家族全員が応援に来てくれていたので、うれしかったですね(笑)。

――競馬ファンのお父さんからは何かアドバイスはありました?

 デビューした当初は、追い方がどうのこうのとは言ってましたね。心の中では「何がわかるんだ! 一度乗ってみろ!」と思いますが、表向きは「そうだね」と言っています(笑)。

――ご自身から見て、自分の長所と短所は?

 長所は一度決めたら、あきらめないことです。

――ですよね(笑)。異論を唱える人はいないと思います。

 短所は、一生懸命になりすぎて周りが見えなくなることですかね。お風呂に入っている時に漫画を読むことがあるんですが、人から話しかけられてもまったく気が付かないんです(苦笑)。

――すさまじい集中力ですね(笑)。

 だから、一度に複数のことができない。器用なタイプではないんですよね。

――今年の目標、そして今後はどんなジョッキーになりたいですか?

 同期、とくに同じ栗東組の荻野や坂井には負けたくないですね。幸騎手のような、ファンや関係者から信頼されるジョッキーになりたいです。あとは、1鞍1鞍を大切に乗って結果を出して、両親に恩返しがしたいです!
キシュトーーク

1鞍1鞍を大切に乗って結果を出して、両親に恩返しがしたいです!

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング