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快進撃続くダノンレジェンドVSスプリント女王コーリンベリー/東京盃

  • 2016年09月21日(水) 18時01分


 9月22日(祝・木)、大井競馬場で行われるRoad to JBC『第50回東京盃』。1967年に創設された長い歴史のある短距離重賞。近年ここで上位に入った馬がJBCスプリントでも上位争いをすることが多い、本番直結の見逃せない前哨戦です。なお今年の東京盃、発走時刻は16時30分。レース当日は祝日で、昼開催となっております! ナイター競馬ではありませんのでお気をつけください。

 今回はまず、2008年の覇者、フジノウェーブの思い出を振り返りたいと思います。

地方所属馬唯一のJBC競走覇者フジノウェーブ


 2004年9月に笠松競馬場のデビュー戦を勝利で飾り、翌2005年8月、黒潮盃に出走(6着)したのち、大井の高橋三郎厩舎に移籍。転厩後いきなり3連勝を飾ります。2006年は初戦こそ2着だったものの、その後は7連勝の快進撃。ちなみに短距離のイメージが強いフジノウェーブも4歳時は1600mから2000mの距離を使っていました。

 2007年5歳になって矛先を短距離に変えてからもその勢いは止まらず、4歳時から数えて9連勝目で東京シティ盃(現・東京スプリント)、10連勝目でマイルグランプリを制しました。その後ダートグレード競走初出走となったさきたま杯4着、帝王賞11着という結果でしたが、再び1200mに挑戦したJpnI・JBCスプリントを勝利し、創設以来初の地方所属馬による制覇を成し遂げました。現在でもJBC競走(クラシック、レディスクラシックを含む)を制した地方所属馬はフジノウェーブ1頭だけです。

短距離に再び矛先を向け2007年JBCスプリントを制覇(撮影:高橋正和)



 JBCスプリント以来、勝ち星を挙げることができないレースが続いていたフジノウェーブが2008年秋の初戦に選んだレースは東京盃。1番人気はプロキオンS、サマーチャンピオンと重賞連勝中のヴァンクルタテヤマ。2番人気は2006年2007年と東京盃を連覇しているリミットレスビッド。フジノウェーブは4番人気でした。

 不良馬場で行われたレースはヴァンクルタテヤマが逃げ、フジノウェーブは中団から。逃げ粘るヴァンクルタテヤマを、直線で内を突いたフジノウェーブが徐々に差を詰め、残り100mほどで先頭に立ち、ゴール! 2着は大外から脚を伸ばしたディープサマー。ヴァンクルタテヤマは3着。フジノウェーブとディープサマーはともに南関東競馬所属馬。ダートグレード競走での嬉しい芦毛馬によるワンツーでした。

2008年東京盃を優勝しダートグレード競走2勝目を挙げた(撮影:高橋正和)



 前年のJBCスプリントと同舞台で東京盃制覇を決めたのち、園田で行われたJBCスプリントは7着。12月のカペラSは3着という成績でこの年を終えます。

 その後7歳から11歳の引退までの間、東京スプリング盃で2010年、2011年、2012年、2013年と4連覇を飾ります。ダートグレード競走での1着はありませんでしたが、東京スプリントで2009年3着、2010年2着、2012年2着と上位争い。最後のレースとなった2013年8月のアフター5スター賞(12着)で故障し、引退。引退後は誘導馬として大井競馬場で活動する予定でしたが、残念なことに去勢手術中の事故のため亡くなってしまいました。「引退後も競馬場でフジノウェーブに会える」と楽しみにしていたファンにとって本当に悲しいニュースでした。長期間に渡って大井競馬場で活躍し、愛され続けたフジノウェーブ。その功績を称え、4連覇した東京スプリング盃は2014年から『フジノウェーブ記念』と名称が改められ、私たちの心にいつまでも刻まれることになりました。

 長い歴史のある東京盃は記憶に残るレースが多く、今年はどんなドラマが生まれるのでしょうか。それでは注目馬をご紹介しましょう。

連覇目指すダノンレジェンド


 去年の覇者ダノンレジェンド。2014年12月のカペラSで重賞初制覇を飾って以降、すべてダートグレード競走を使い続けて重賞8勝、負けたレースもすべて馬券圏内と大活躍。圧巻は前走・クラスターC。60kgという負担重量を背負いつつも完勝し、スタートさえ決めれば飛び抜けた実力があることを見せつけました。大目標は昨年1番人気で惜しくも2着に敗れたJBCスプリント。念願のJpnIタイトル獲得を前に、東京盃連覇を目指します。

60Kgを背負いながらクラスターCを制したダノンレジェンド(写真提供:岩手県競馬組合)



 昨年このレース3着からJBCスプリントを制した女王・コーリンベリー。今年4月の東京スプリントでもダノンレジェンドが後手を踏む中、すんなりとスタートを決めてそのまま危なげなく逃げ切り。大井1200mは【2-0-1-0】でJpnIも制した得意のコース。出走メンバー中、唯一の牝馬。2012年のラブミーチャン以来となる牝馬の勝利なるか?! 今年は大一番に向けて、前哨戦もきっちり勝ちたいところ。

同じ大井競馬場の1200mで行われた昨年のJBCスプリント覇者・コーリンベリー(撮影:高橋正和)



 成長著しい4歳馬ノボバカラ。昨年3歳時ユニコーンSでノンコノユメの2着と、すでに才能の片鱗を見せていましたが、今年1600万下から3連勝でかきつばた記念を制し重賞初制覇。続く北海道スプリントではダノンレジェンドの2着に健闘。さらに前走・プロキオンSで重賞2勝目を挙げました。1400mは5戦4勝【4-0-1-0】に対し、1200mはこれまで北海道スプリント1戦(2着)のみ。1200mを得意とする馬たちが揃う中、ルメール騎手との初コンビで、一つでも上の着順を狙います。

 ドリームバレンチノは、2014年、2015年の東京盃でともに2着。2014年には盛岡で行われたJBCスプリントを制したJpnIホース。前走・さきたま杯でソルテの3着となるなど、まだまだ元気な9歳馬です。

 昨年12月のカペラSを制し、重賞ウイナーの仲間入りをしたキクノストーム。後方から一気の末脚が持ち味で、ハマれば怖い存在。今回、初めての地方・大井競馬場でその脚を繰り出すことができるでしょうか。

 地方勢からはルックスザットキルを挙げておきましょう。東京スプリントは休み明け、転厩初戦で5着でしたが、続く大井のオープン競走で勝利。習志野きらっとスプリント10着のあとアフター5スター賞を快勝。とにかく自分の競馬ができれば力を発揮する、南関東競馬生え抜きのスプリンター。今年のJBCスプリントには今のところ出走予定はなく、この馬にとってはここ東京盃が大目標。鞍上・早田功駿騎手も「この距離で今、中央馬を負かすことができるのはこの馬だけ」と、意欲を燃やしています。

鞍上・早田功駿騎手も意欲を燃やしているルックスザットキル(写真は昨年の優駿スプリント優勝時、撮影:高橋正和)



 とにかく今回、大注目はスタート。2枠2番ダノンレジェンド、2枠3番コーリンベリー、3枠4番ノボバカラと、有力馬3頭が内枠に勢揃い。さらに6枠10番のルックスザットキルも加わって、その先行争いから一瞬たりとも目が離せません。頂点を目指すスプリンターたちの戦いにご注目ください。

※次回の更新は9月27日(火)の18時。船橋競馬場で行われる「日本テレビ盃」のコラムをお届けします!



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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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