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長所を見つけて自信をつける

  • 2017年02月16日(木) 12時00分


◆欠点をなおすより、長所を見つける

 これならと自信の持てること、少しは自分にあるだろうか。人生の達人は、よく、人生などというものは失敗の連続なのだから、いくらでも失敗するがいいというが、現実はなかなかそうはいかない。それでは身がもたない。ただ、失敗をすると少しは賢くなるという気はする。そこから小さな自信が芽生えれば、それでまずは良しとしたい。失敗に学ぶという言葉もある。

 プロ野球で、かつて西鉄を黄金時代に導いたり、万年最下位にあった大洋を就任一年目に日本一にした三原脩という名監督がいた。知将、魔術師などと言われたが、「選手を育てるということは、自信を持たせることです」とよく言っていた。欠点をなおすより、長所を見つける。一番大切なのは自信を持たせることと、26年間の監督生活で数多くの選手を育てた。弱小チームに移っては強敵にいどむ姿は、昔のプロ野球ファンの語り草になっていた。

 この育てるということと、失敗をくり返さないということ、目の前の競馬シーンでもよく見受けられる。共同通信杯を勝って春の牡馬クラシック戦線に名のりをあげたスワーヴリチャードと四位洋文騎手、正にこれに当てはまる例と言えた。とびが大きく、少しがむしゃらな面があったが、確実に脚を使うという長所があり、四位騎手が言うように、一戦一戦じっくりこれに磨きをかけてきた。手応えがよく早目に抜け出して右に少しよれて敗れた東スポ杯2歳Sを反省し、庄野調教師は、けいこ量を増やし最後まで踏ん張れるようにと、長所をのばすことに専念していた。これにより肩周りに筋肉がつき、体にメリハリが出て、折り合い面にも成長がうかがえると語っていた。

 一方の四位騎手は、とにかくじっくり構え、はなれた中団にいても末脚を信じて折り合いに専念し、6番手で直線に向いてからの追い出しも絶妙のタイミングだった。あるていどの位置取りでレースができ、折り合いもついて、瞬時に2馬身半の差をつけて勝てたことで、人のみならず、スワーヴリチャード自身も自信をつけたとみたい。長所を見つけて自信をつける、ここまでの4戦は実にうまくいっている。さらなる進化があればと思えてならない。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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