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【22歳のリアル】地方最激戦区の南関東所属にこだわった理由は?

  • 2017年04月10日(月) 18時01分
笹川翼

▲笹川翼騎手が自身の“リアル”をありのままに伝えます!


TCK所属の若きスター候補生・笹川翼騎手(22歳)による新連載『ギャロップ翼〜TCK笹川翼の成長記』がスタート! 記念すべき初回は、連載に対する意気込みから、好成績を収めたデビュー年の胸のうち、さらには先輩・御神本騎手の復帰に意識することなど。自己紹介も兼ねてありのままに語ります。(取材・文:赤見千尋)

「難しい環境だからこそ、そこで戦ってみたい」


――今回1年間笹川騎手に密着して、いろいろと語っていただこうというこの企画ですが、ご自身ではどのような想いがありますか?

笹川 中央競馬のファンの方や、これまで南関東にあまり馴染みがなかった方にも見ていただける機会なので、ありのままの自分を出していけたらなと思っています。たくさんの方に見て欲しいですし、僕個人というより、南関東の競馬だったり、地方競馬の若手騎手がクローズアップされる機会は少ないので、新鮮に感じていただけたら嬉しいですね。

――ちなみに、タイトルが「ギャロップ翼」と決まった時はどんなお気持ちでしたか?

笹川 面白いと思います。僕の名前の由来が「キャプテン翼」ですからね。ただ、照れるので僕が考えたんじゃないっていうことは書いておいて下さい(笑)。

――了解しました(笑)。さて、現在デビュー5年目ですでに384勝(2017年4月9日現在)、重賞も3勝していますし、今年は的場文男騎手を抑えて南関東リーディング5位につけています。激戦区の大井所属でここまで活躍できるというのは本当にすごいです。

笹川 結果だけ見ればそうですけど、まだまだです。本当に周りの方々のお陰ですし、頑張ってくれた馬たちのお陰です。僕は新潟出身なんですけど、祖父が新潟の騎手で、辞めた後は西山牧場で働いていたんです。その影響で騎手を目指したんですけど、JRAは2回落ちてしまって、地方競馬教養センターに合格した時も、所属厩舎は決まっていなかったんです。教官や周りからは、「南関東では乗せてもらえないから、他の競馬場がいいんじゃないか」ってすごく言われたんですけど、一番難しい環境だからこそ、そこで戦ってみたいという想いが強くて、そこはこだわりました。当時の養成課長が米田英世調教師の大学の先輩だったので、その縁で所属にさせていただきました。

――デビュー年43勝ですからね。なかなかできないし、かなりインパクトがありました!

笹川 大井に行く時点で、最初からは乗れないだろうなって考えていたんです。だから、どうやったら乗せてもらえるかということをすごく考えていました。まさかこんなに乗せていただけるなんて思っていなかったので、自分でもびっくりです。本当に周りの方々に感謝しています。

――1年目からかなり積極的なレースぶり、すごく印象に残っています。例えば的場文男騎手が逃げていたとしても、臆することなく攻めて行ってて。プロの世界なので当然と言えば当然なんですけど、なかなか度胸が据わっているなと思っていました。

笹川 最初はそういう乗り方が攻めているってこともわからなかったですが、今となっては良かったのかなと思っています。それに、馬に乗ったら人が変わるというか、競馬に行ったら正直先輩も後輩もないじゃないですか。だから、そういったことは気にしなかったですね。邪魔だけはしなければいいのかなと。

――デビュー3年目の2015年が114勝、去年が133勝。すでにトップジョッキーの仲間入りを果たしましたね。

笹川 自分としては、数字というよりも右肩下がりというのがどうしてもイヤだったので、それだけしか考えてなかったです。前年より勝てば、「減量が取れたら乗れなくなった」とかは思われないわけで、毎年目標は前年を超えることだと思っています。たださすがにだんだん苦しくなってきましたね(苦笑)。今年は月10勝以上のペースでいかないと厳しいので。

――そろそろ、「リーディング獲りだ」とか言われませんか?

笹川 有り難いことにそう言っていただけますし、もちろんリーディングにはなりたいです。でも流れで“なっちゃった”というのはイヤなので、自分の中でしっかりした技術を身に着けて、誰が見ても「あいつ、上手いな」って思ってもらえるようになってから意識したいです。レースだけじゃなくて乗っている格好とか、追っている姿とか、トータルして認められるようなジョッキーになってから、という気持ちが強いですね。

――今、特に期待の馬はいますか?

笹川 ミサイルマン(牡3、大井・森下淳平厩舎)です。京浜盃は負けてしまいました(5着)が、休み明けもあって、スタートもゆっくりだったし全体的にレース勘が鈍かったかなと。それでも最後は詰めてきているし、前回ダメだったところを反省して調整して、羽田盃(SI・5月10日)でまた頑張ります!

笹川翼

▲南関東の生え抜きとして期待を集めるミサイルマン(撮影:武田明彦)


――デビューから手綱を取って、クラシック戦線で戦うというのはすごい経験ですよね。

笹川 本当ですよね。馬がたくさん教えてくれますし、本当に有り難いです。ミサイルマンは3戦無敗でハイセイコー記念を勝ったんですけど、去年のグランユニヴェールという馬との経験があったから、今回落ち着いて乗れたんだなと思うんです。そういう積み重ねで精神的に助けられていますね。

――南関東のトピックとしては、御神本訓史騎手が再び騎手免許試験に合格しました。脅威に感じますか?

笹川 脅威は脅威ですけど、それ以上にあれだけめちゃくちゃ上手い方が近くにいるっていうのは、僕ら若手にとってすごくいいお手本になりますし、刺激になりますよね。怖いという気持ちより、競馬がどう変わるか楽しみです。

――さらにプライベートなこともお聞きしたいんですけど、すでにご結婚されているんですよね? しかも保育園からの幼馴染と!! なんか映画みたいですね。初恋の人と…なんて。

笹川 僕は初恋ではないです(笑)。向こうが転校したりもしたんですけど、それでも途中で何回か会ったり、ジョッキーになって僕が連絡して、また久しぶりに会ってみたいな。結婚したのは去年のバレンタインデーです。入籍日は…特に意味はないですけど(照)。結婚して1年ちょっとですが、ナイターが終わって帰って来て、コンビニのご飯を食べるのと、作って待っていてくれるのとでは全然違いますね。栄養面もそうだし、気持ちの面でもすごく助けられていると思います。

――では、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

笹川 はい。初めましての方も多いと思いますが、これからたくさんの方に見ていただけるよう、ありのままの僕を伝えていきたいです。よろしくお願いします!

※次回は4/24(月)18時に配信予定です

1994年7月17日生、新潟県出身。2013年4月7日に米田英世厩舎(大井)からデビューすると初年度から43勝を挙げ、NARグランプリ優秀新人騎手賞を獲得。重賞勝利に勝島王冠(15年)、船橋記念(16年)、ハイセイコー記念(16年)。

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