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ダート血統には2つのタイプがある

  • 2017年06月09日(金) 19時00分


◆高速馬場に強いファピアノ系

 単行本「競馬研究所2」にも書きましたが、多くの人が目にするメディアでは、人気馬の弱点を書くことは、リスクが大きい割に見返りは少ないです。人気馬とは、多くの人が買いたい馬であり、そこを叩くことは反感も買いますし、万が一走った場合(って表現もおかしいですが)、さらに叱られますので。

 競馬は人生の縮図だと思うのですが、人間を扱うメディアも、大きいメディアほど、弱そうな人を叩くのを簡単にやってますが、強そうな人を叩くのは難しそうなのと一緒ですかね。だからこそ、タブーとされている人気馬を消す傾向は馬券で効果的ともいえますが。

 前置きが長くなりました。ベルモントSに勇敢に挑戦するエピカリスは、血統的には、向かない条件だと思うのです。

 いわゆる「ダートで結果を出す血統」には、大きく分けて2つのタイプがあります。ひとつはテンからスピードに乗り、それを持続し続ける能力に長けた「スピード持続型」。そして、もうひとつはバテてから、我慢する馬力、底力に長けた「馬力型」。

 ミスタープロスペクター系、ボールドルーラー系といった本場アメリカで主流の血統は「スピード持続型」血統です。一方、バテてから我慢する馬力、底力に長けた「馬力型」は欧州血統の馬に多いです。

 エピカリスは父ゴールドアリュール、母父カーネギーともに欧州指向の「馬力」血統。どちらかといえば、ネオユニヴァース、バブルガムフェローに近いタイプ。

 ドバイのダートは、本場アメリカに比べれば、欧州の芝に近い血統が走りやすいダート。(もっと近いのは南米の芝の感じもしますが)実際、エピカリスをドバイで負かしたサンダースノーは欧州の芝で実績を残す馬で、アイリッシュ2000ギニーでも2着。

 …ということで、ドバイWCでアロゲートを消してみたら、力の違いを見せつけられて完敗したんですが(笑)別の見方をすれば、アロゲートの血は芝でも高い運動能力を伝達できそうなので、日本の芝でも貴重な血になる可能性は高そうです。

 エピカリスも「血統的に合わない条件」を力でねじ伏せることができれば、種馬としてもさらに楽しみになります。

 アロゲートが日本でも貴重な血になりそうなのは、絶対的な身体能力に加え、父がファピアノ系だから。先週の安田記念は勝ち馬のサトノアラジンは母系にファピアノ。ダービーで2着のスワーヴリチャードも母父ファピアノ系。ファピアノは高速馬場に強い南米でも主流系統。今の東京芝の馬場は「速いミスプロ系」に相性の良い馬場状態です。

 今の東京芝は、ファピアノのような速いミスプロ。もしくはプリンスリーギフトの血が活きる馬場。エプソムCもアストラエンブレム、タイセイサミットはサンデーに速いミスプロの配合馬。だから2週前の馬場でも走ったわけで、そのおかげで人気にもなってしまうでしょうが。

 今年のマーメイドSは同牝系の馬が複数出走。ロゼカラーの一族はバンゴール、ローズウィスパー。アドマイスの一族にキンショーユキヒメ、マキシマムドパリ。重賞実績も、同コース重賞実績もロゼカラーの一族の方が優秀ですが、はたして。

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血統馬券予想理論『血統ビーム』の提唱者で、『ブラッドバイアス』『大系統』『小系統』などの血統予想用語、概念の作者。血統ビームの革新性は20世紀末の競馬予想界に衝撃を与え、現在は競馬ファン、競馬評論家に多大な影響を与え続けている。また『競馬予想TV!』『競馬血統研究所』(ともにCS放送フジテレビONE)に出演するなど活躍中。Twitterはコチラ。
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