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柔らかい肉質を競う? チャンピオンズC

  • 2017年12月01日(金) 19時00分


◆去勢は「肉の柔軟性」を維持するオプション

 競馬で要求される能力の方向性が一定方向ではないのは、有利な「肉質」も正反対のレースが存在するからです。

 古馬混合戦のレースで、3歳馬や牝馬が走りやすいレースでは斤量の有利さが指摘されるケースは多いです。しかし、3歳馬や牝馬は、古馬の牡馬に比べて「肉の柔らかさ」で勝っている点は見逃せません。

 たとえば、今年のマイルCSは3歳馬が1、3着。このレースは「3歳馬の斤量が重くなったから3歳は不利」みたいな説もありましたが、血統を知る者からすれば「今までマイルCSで3歳が走らなかったのは「柔らかさ」を長所にする種馬の産駒があまり出走していなかった」影響のほうが強いと考えます。

 実際、今年のマイルCSを制したペルシアンナイトの父ハービンジャーは牝馬、若駒がG1で結果を出しています。近親のゴールスキーもマイルCSで3着に走れたのは3歳の時。キャリアと年齢を重ねて肉が硬質化するとダート馬へとシフトしました。

 つまり、3歳馬や牝馬が走りやすい条件とは「柔らかさ」が有利に作用するのだと考えられますし、若駒や牝馬が走りやすい血統。芝で出世しやすい血統馬が走りやすい傾向になります。

 チャンピオンズCも「肉の柔らかさ」が有利に作用しやすいレース。一昨年は牝馬が優勝。そして昨年は去勢馬が優勝。去勢は「肉の柔軟性」を維持するオプション。「肉の柔らかさ」が大事なジャンルでは、オスよりもメスの方が価値が上。オスはすべて柔らかくするため去勢されます。

 ノンコノユメは去勢馬。母父アグネスタキオンの代表産駒にダイワスカーレット、ディープスカイ。牝馬や若駒で活躍馬を出す種牡馬。

 何度も書いていますが、牝馬や若駒で出世馬を出しやすい種馬は、去勢が有効。なぜなら去勢は「肉のメス化」を促すオプションだから。

 同馬は昨年の夏に去勢手術を施した馬。去勢した馬は、術後半年ほどは、ホルモンバランスの変化によって本来の能力を発揮できないケースが多い傾向に。

 実際、ホームページで公開している予想でも、去勢明け半年以内の人気馬を消すレースを選んだり、半年後に人気薄で一変する馬を狙うことで好配当を幾度となく獲得しています。結果的に、去年のチャンピオンズCのノンコノユメは後遺症も大きかったよう。

 近親にハーツクライ。フォーティナイナー系とサンデー系の配合にレッドファルクス。柔軟性に富んだ筋力から繰り出される末脚勝負が決まるレースに強い血統。

 グレンツェントは4歳馬。キャリア13戦の馬。競走馬はレベルの高いレース、タフなレースでキャリアを積むと肉が硬質化する傾向に。

 芝のレースは、キャリアの浅い馬が有利なレースが多いのも、肉の柔らかさが有利に作用するレースが多いから。逆に地方のダートはキャリアを積んで硬質な肉が生み出すパワーが有利なレースは多いです。

 チャンピオンズCはダート競馬の中では芝指向の柔らかさが活きるレース。父ネオユニヴァースも母父キングマンボも芝中距離G1馬を出した種馬。3年前の当レース勝ち馬は父父がキングマンボ。

 芝指向の血統。メンバーの中ではフレッシュな肉であることも当レースの傾向からは有利。

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血統馬券予想理論『血統ビーム』の提唱者で、『ブラッドバイアス』『大系統』『小系統』などの血統予想用語、概念の作者。血統ビームの革新性は20世紀末の競馬予想界に衝撃を与え、現在は競馬ファン、競馬評論家に多大な影響を与え続けている。また『競馬予想TV!』『競馬血統研究所』(ともにCS放送フジテレビONE)に出演するなど活躍中。Twitterはコチラ。
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