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弥生賞の手がかりは競走馬としての完成度にあり

  • 2018年03月03日(土) 12時00分


◆進化する魅力を秘める2頭

 春のクラシックを目標に戦う弥生賞だが、近年ではめずらしい最強の顔ぶれになった。ここで勝つことで、この次の本番での勝利も確信したいところだが、果してそうなるかどうか。同じ中山の2000米なのに、弥生賞と皐月賞の結びつきはそれほどではない。むしろ、ダービーの方が関連が強いのだ。

 そこに、弥生賞を検討する手がかりがあると言える。

 一気に勝ち進んで春のクラシックまで行き着くには、素質や能力はもとより、競走馬としての完成度が高くなければならない。明け3歳馬の春のこの時期では、まだまだ成長途上で、弥生賞から皐月賞、ダービーとそれぞれレース内容が異なる中、それを克服するのは並大抵なことでは太刀打ちできない。

 この10年で弥生賞を勝って皐月賞馬になれたのはヴィクトワールピサのみ。弥生賞とダービーを勝ったのはロジユニヴァースとマカヒキで、どちらも皐月賞では負けていた。このダービー馬になった2頭は、いずれも無敗で弥生賞を勝っていたが、皐月賞では弱点を露呈していた。それをカバーできたことでダービーをものにしたのだとも考えられる。つまり、弱点がある場合、どこでそれが分かるかで勝てるレースが見えてくることもあると考えられる。

 今年のディープインパクト産駒の3頭の無敗馬ダノンプレミアム、オブセッション、ワグネリアンには、この段階での課題があるのかどうか。ダノンプレミアムには初コースと距離がテーマになるし、ワグネリアンには中山の2000米であの切れ味が武器になるかどうか、オブセッションにも同じ事が言える。弥生賞は、だいたいが緩い流れで、上がりもそんなに速くならない。それより、いいポジションが取れるかの方が大きい。そして折り合えることも重要だ。

 昨年のカデナはスローの我慢くらべに勝ち、その前年のマカヒキはやや速い流れでもいいポジションが取れ、反応もよく勝っていた。どんな場面になるかで勝ち方は異なるが、一度ホープフルSで敗戦を喫したジャンダルム、サンリヴァルの方に、進化するという魅力を覚える。どちらかが3強の一角をくずすと見た。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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