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【有馬記念】スタミナを要する消耗戦か、はたまた上がり勝負か

  • 2019年12月20日(金) 18時00分

先行勢が外枠に、厳しい流れになる可能性


 GI馬多数で盛り上がる今年の有馬記念。みなさんもどの馬を取るか、切るか、悩んでいることだろう。

 人気はもちろんアーモンドアイだろう。能力に疑う余地はないし、香港を回避したからといって状態面のマイナスもなさそう。むしろ先週の調教などはかなり良かった。枠順も無難なところを引いたし、極端な展開にならなければ大崩れはないだろう。

 ただ、消耗戦になってスタミナを要求された場合は少し不安。もともと香港カップを選んでいたのは2000mがベストゆえだし、春には安田記念を使った馬。上がりに重点のある競馬になってくれたほうがこの馬にはよさそうだ。

 リスグラシューはコックスプレートを勝っての参戦。決して展開に恵まれた形での勝利ではなかったのでこの馬の力量を再確認できた。スタミナに関してはこの馬のほうが対応できそうに思う。レーン騎手は良いときとそれ以外がはっきりしているタイプなので、ハマると1着までありそう。

 サートゥルナーリアはこのレースと相性の良い3歳馬。天皇賞秋の敗戦はコース適性によるものだと言われているが、だとすれば今回は変わり身があっていい。ただこの馬も消耗戦できっちり2500mぶんスタミナを要求されると不安はある。切ることも怖いが心中もしたくないというのが個人的な感想だ。

 ワールドプレミアは有馬記念と相性抜群な菊花賞組。馬そのものを見てしみじみ強いとまでは思わないのだが、例年の傾向を見ると重視は必要。また、今回の人気馬が苦戦する展開になった場合はこの馬のような長距離好走馬が台頭してくるはず。菊花賞で3着だったヴェロックスとこの馬が展開のポイントになりそうだ。

 スタミナ色の強い展開を期待するのはフィエールマンも一緒、天皇賞春はあの折り合いから4角先頭を経ての押し切りで、ステイヤーぶりを見せつけた。アーモンドアイやサートゥルナーリアが勝つ展開では厳しいが、逆の形になるとチャンス。

 スワーヴリチャードはJCを勝ってきたのにそこまで人気が盛り上がらず、それが今回のメンバーレベルを物語っている。戦略重視のマーフィー騎手で内枠を引いたのは幸運。好位のインで我慢する競馬になりそうだが、直線一発でさばければ上位争いが可能だ。

 レイデオロはちょっと馬に覇気が無いというか、手を出しづらい状況になりつつある。乗り替わり云々は特に問題ないと思うのだが、気持ちの面でどれだけ戻っているかが課題だろう。

 キセキはレースの行方を左右する存在。この馬が11番、クロコスミアが12番、アエロリットが15番とみな外を引いた。全員が出していくようだと、その後折り合いがつくかどうかによっては厳しい流れになる可能性がある。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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