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【エルムS/レパードS】焦らず計算して…ポジションのつくり方が絶妙だった柴田善臣騎手

  • 2021年08月10日(火) 18時00分
哲三の眼

エルムSは4番人気スワーヴアラミスが勝利 (C)netkeiba.com


今週はふたつのレースをピックアップしてお届け。まずは函館で行われたエルムS。スワーヴアラミスと続けてコンビを組んでいた松田大作騎手の騎乗について、「馬の癖をしっかり掴み、上手く気持ちを前向きにしながらのレース」と振り返ります。

新潟で行われたレパードSでは、1番人気メイショウムラクモを勝利へ導いた柴田善臣騎手が最年長重賞勝利記録を更新! 哲三氏も思わず唸ったというレース運びを詳しく解説します。

(構成=赤見千尋)

4コーナーでのコース選択も完璧


 今回まず振り返りたいのは函館競馬場で行われたエルムステークス。4番人気スワーヴアラミスが勝ちました。最近は続けて(松田)大作君が騎乗していて、特に北海道シリーズでいい結果を出していましたね。レース後に「渋い馬でずっと追い続けてないといけない」というようなコメントをしていましたが、この馬の癖をしっかり掴み、その癖を出さずというか出す暇もなく、上手く気持ちを前向きにしながらのレースでした。

 向正面で置かれそうになった場面もありましたが、促して射程圏から離れないようにしていました。外から見ているだけでは具体的にどんな癖があるかわからないけれど、ただズブいというだけではないように感じます。そこを前向きに持っていって、4コーナーでのコース選択も完璧にいったのではないでしょうか。

 スワーヴアラミスは一時期リズムを崩していた印象がありましたが、陣営が上手く立て直してきましたし、6歳でまだまだ元気な走りを見せてくれていますから、今回の走りをさらに大きな舞台へ繋げて欲しいです。

哲三の眼

さらに大きな舞台での活躍にも期待…! (C)netkeiba.com


若手ジョッキーにとって、とてもいい研究材料に


 新潟競馬場で行われたレパードステークスは、1番人気メイショウムラクモが勝利。鞍上の(柴田)善臣さんは最年長重賞勝利記録ということでしたが、さすがの騎乗に思わず唸りました。

 ある程度前に付けられるスピードのある馬で、今回は大外枠からのスタートでした。スタートして焦ってポジションを取りに行くのではなく、2コーナーまででこのポジションが取りたいという感じで、無理せず3番手外というのを計算していたように感じます。

 例えば経験の浅い若いジョッキーだったら、スタートして追っ付けて早めにポジションを取って構えようという感じになることが多い場面です。早くポジションを取って、早く減速したいという気持ちもわかりますが、善臣さんはすぐに3番手を取ろうとしているわけではないんですよね。

哲三の眼

柴田善臣騎手のポジションの取り方に注目 (撮影:橋本健)


 今回1コーナーからのポジション争いをしたのは内にいる川田(将雅)君でした。川田君は普段からポジションを取りに行くタイプで簡単には引かない。もちろんムリに押し過ぎたりするようなことはないですが、絶妙な間合いで引かないジョッキーの一人だと思っていて。その川田君を外から上手く被せながら、自然に引く形を作っているんです。それをスピードの乗りを落とさずにやっているわけで、こういう形はなかなか見られないなと。

 善臣さんは「ポジション取ってやろう」という構えで乗っている感じではないのですが、馬の動かし方、御し方がさすがだなと思いました。2コーナーまでのポジションのつくり方が絶妙で、皆が自然に引いてくれて、自分がいいポジションを取る。スピードを落とす扶助操作はポジションを取ってから、という形。ここまでをとてもいい形で運んでいるので、あとは馬の力もあるでしょうし、しっかり勝ち切ってくれました。

 こういうレース運びは見ただけで盗めるものではないけれど、若手ジョッキーたちにとってはとてもいい研究材料になるはずです。僕も現役時代、善臣さんにスタートを切ってから自然と押し込められたり、馬群の中に入って行かざるを得ない状況を作られたりすることが多々あって、なぜそういう風に出来るか、たくさん勉強させていただきました。

1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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