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【有馬記念】新しい流れをつくる3歳馬は気にしておきたい

  • 2022年12月24日(土) 12時00分

牝馬の時代を受け継いだ昨年の3歳世代


 この一年を振り返るとき、GI競走で負け続けた一番人気が、秋に、天皇賞でイクイノックスが勝ってピリオドを打ったことに思いが及ぶ。新しい流れをつくるのは、やはり3歳馬だ。

 一年前は、牝馬の時代を受け継いだ名牝たちが次々とターフを去っていた。19年の桜花賞馬グランアレグリアが、牝馬初のマイルCS連覇を達成してラストランを飾り、同期のオークス馬ラヴズオンリーユーが、クイーンエリザベスII世C、ブリーダーズCフィリー&メアターフ、そして香港Cと海外のGIを3勝して引退の花道を飾っていた。さらに有馬記念では、やはり同期の秋華賞馬クロノジェネシスがグランプリレース3連勝を引っ提げてここを引退レースとのぞみ、3着でターフを去っていた。

 これを受け継いだのがエフフォーリアで、デビューから有馬記念まで7戦6勝、唯一の敗戦がダービーのハナ差2着、この中には皐月賞、秋の天皇賞の勝利が含まれていて、有馬記念のファン投票で史上最多の26万票を集めて、堂々の1番人気で、これに応えていた。このエフフォーリアが向かわなかった菊花賞を勝ったのが同期のタイトルホルダーで、この勝利から今年の春の天皇賞、宝塚記念優勝へとつながってきたのだから、明らかに昨年の3歳世代が、牝馬の時代を受け継いだと言える。

 そしてこの秋、今度は、ダービー、皐月賞はいずれも2着と惜敗していたイクイノックスが、秋の天皇賞から有馬記念の制覇をめざしている。デビューから5戦3勝2着2回、有馬記念は6戦目で、勝てば最少キャリアでの優勝という記録になる。大事に使いながら成長を待つという扱い方が功を奏することになるのか、年長の牡馬より2キロ軽い55キロは有利だし、いい切れ味を持ったレースのしやすい3歳馬だ。去年に続き、3歳馬による秋の天皇賞、有馬記念連覇となれば、この流れは増々大きくなっていくだろう。

 一方、これに待ったをかけるのが、同一年のグランプリ制覇史上12頭目の快挙を狙うタイトルホルダーだ。ファン投票では昨年を上回る歴代最多の36万票を集め、国内の王者は譲れないとのぞんでくる。凱旋門賞11着が気になるが、あまりにも馬場が悪かった一戦でこれは別物と考え、改めて菊花賞を逃げ切ったスタミナ、宝塚記念レコード勝ちのスピードに期待したい。スタートも二の脚も速いのでいろんな戦い方が出来るのが強味だ。

 昨年の優勝で新時代到来と言われたエフフォーリアは、その後の敗戦からどう立ち直ってくるか、着々と態勢をととのえて復活を期している。

 ただ勢いという点では、3連勝でジャパンCを勝ったヴェラアズールを。今年の3月から芝に転じて良さが発揮されるように進化し、大きくゆったり走るので長距離が合いそうだ。

 ただし、クリスマス当日の有馬記念は、7回のうち5回も3歳馬が勝っているので、これも気にしておきたい。

「その通り 終わりよければ 全てよし」

当コラムの次回更新は1月7日(土)12時予定です。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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