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ディープ産駒2度目の制覇となるか 英2000ギニーにオーギュストロダンが出走予定!

  • 2023年04月26日(水) 12時00分

前哨戦を経て固まりつつある勢力図と本番に向けた展望


 22日にニューベリー競馬場で行われた牡馬のG3グリーナムS(芝7F)、牝馬のG3フレッドダーリンS(芝7F)をもって、G1英2000ギニー(芝8F)とG1・1000ギニー(芝8F)に向けた主要なプレップレースが終了。両ギニーを巡る勢力分布がほぼ固まった。

 今週のこのコラムは、5月6日にニューマーケット競馬場で行われるG1英2000ギニーの展望をお届けしたい。

 ブックメーカー各社が3.5〜4.0倍のオッズを掲げて1番人気に推しているのが、A.オブライエン厩舎のオーギュストロダン(牡3、父ディープインパクト)だ。ディープ最終世代の1頭である同馬については、このコラムでもこれまで何度か取り上げてきた。牡馬を撃破したG1ロッキンジS(芝8F)を含めて、8F〜10FのG1を3勝したロードデンドロンの初仔として、20年1月に愛国で生まれた同馬は、2歳6月にデビュー。ネース競馬場のメイドン(芝7F)を制しデビュー2戦目で初勝利を挙げると、G2チャンピオンズジュベナイル(芝8F)、G1フューチュリティトロフィー(芝8F)をいずれも白星で通過。3連勝でG1制覇を果たして2歳シーズンを終えた。

 昨年秋の段階では、G1英ダービー(芝12F6y)へ向けた前売りで、ブックメーカー各社が横並びで断然の1番人気に支持していた一方、G1英2000ギニーの前売りでは、5〜6番人気としていたブックメーカーが多かったオーギュストロダンだが、シーズンオフが進むにつれて、英2000ギニーの前売りでもじわじわと人気が上昇。3月25日に、競馬開催が行われていたカラ競馬場に輸送され、7ハロンの追い切りを行なって抜群の動きを見せたあたりから、英2000ギニーの前売りでも各社が1番人気に推すようになった。当初の予定通り、プレップレースは使わずに、英2000ギニーが今季初戦となる。18年のサクソンウォリアーに続く、ディープインパクト産駒2度目の英2000ギニー制覇となるかどうか。世界の競馬ファンが注目している。

 各社が5.5〜6.0倍のオッズを掲げて2番人気に推すのが、アンドリュー・ボールディング厩舎のシャルディーン(牡3、父フランケル)だ。

 2歳時は5戦し、G1デューハーストS(芝7F)など3重賞を含む4勝を挙げた同馬。今季初戦となったのが22日にニューベリー競馬場で行われたG3グリーナムSで、同馬はオッズ2.25倍の1番人気に支持された。ところが、発馬直後に右隣から出た馬と軽く接触すると、左に大きくヨレて、鞍上のフランキー・デットーリが落馬。記録の上では、その時点で競走中止となった。影響が心配されるところだが、実際のところ、カラ馬となったシャルディーンはレースに参加。残り1Fを切る辺りまで逃げて馬群を先導し、最終的には2着で入線。「プレップレースを走る」という、このレースを使われた目的は果たしている。

 各社が4.5〜6.5倍のオッズを掲げて2〜3番人気としているのが、オーギュストロダンと同厩のリトルビッグベア(牡3、父ノーネイネヴァー)だ。2歳時は5戦し、7馬身差で圧勝したG1フェニックスS(芝6F)など2重賞を含む4勝をあげた同馬にとっては、8Fの距離を克服できるかどうかが、最大の鍵となる。この馬自身、G1フェニックスSの1つ前に制したG3アングルシーS(6F63y)が、2歳時に走った最長距離で、父ノーネイネヴァーはG1モルニー賞(芝1200m)の勝ち馬。その産駒も、G1ジュライC(芝6F)やG1ミドルパークS(芝6F)を制したテンソヴリンズを筆頭に、スピードを武器にする馬が多い。

 その一方で牝系は、母アドヴェンチャーシーカーが、ロンシャンのLRリアンクール賞(芝2100m)の勝ち馬。リトルビッグベアの2歳年上の半兄ヴァンルージュは、父がG1フェニックスS(芝6F)勝ち馬ゾファニーであるにもかかわらず、フォントウェルのハンディキャップハードル(芝17F162y)で勝利を収めている。そして、リトルビッグベアの3代母は、G1凱旋門賞(芝2400m)などを制したオールアロングだ。牝系の影響を色濃く受け継いでいれば、少なくとも8Fまでは守備範囲にあるはずだ。

 各社が8.0〜9.0倍のオッズを掲げて4番手評価としているのが、ロジャー・ヴァリアン厩舎のサクヒール(牡3、父ゾファニー)だ。

 2歳時は3戦し、G2ミルリーフS(芝6F)を含めて2勝している同馬にとっても、ポイントは8Fの距離にある。前述したように、父はG1フェニックスS(芝6F)の勝ち馬だ。だが同馬は3歳6月に、ロイヤルアスコットのG1セントジェームスパレスS(芝7F213y)で、フランケルから3/4馬身差の2着となっており、マイルまでは守備範囲にあった馬だった。産駒も、G1マルセルブーサック賞(芝1600m)勝ち馬アルビグナや、G1英1000ギニー(芝8F)勝ち馬マザーアースなど、マイルG1勝ち馬は出ている。リトルビッグベア、サクヒールはいずれも、プレップレースを使わずに、英2000ギニーが今季初戦となる予定だ。来週のこのコラムでは、5月7日にニューマーケット競馬場で行われる牝馬のG1・1000ギニー(芝8F)の展望をお届けしたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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