伏兵の戦い方からヒントを得たい
多くが春のクラシックを目標とする中、NHKマイルCは微妙な位置にある。3歳マイル王決定戦だが、クラシックとは別路線を最初から歩み続ける馬たちばかりでなく、方向転換してまわってくるものもいて、その比較がむずかしくなっている。
1番人気が6連敗中というのも、そうした背景から見れば仕方がない。この10年の出走頭数を前哨戦別にくらべてみると、トライアルの2競走が一番多く、ニュージーランドT組が全部で50頭、2018年にトライアルに指定されたアーリントンCがそれ以前と合わせて25頭とこれに続いている。
ところが、そのトライアルの勝ち馬が本番も勝ったのはアーリントンCの2頭だけ。14年のミッキーアイルと昨年のダノンスコーピオンで、出走頭数の一番多いニュージーランドTの勝ち馬は、まだ本番を勝っていないのだ。と言うことは、トライアルはあくまでもトライアルであって、出走権を得るか、ひと叩きをして本番に備えるかなのだと割切るべきなのだろう。
これに次いで出走頭数の多いのは、1400米のファルコンS、そして桜花賞、皐月賞と続き、マイルを目標にここで勝った馬も出ている。
今年の出走馬の大半がここに取り上げた5レースのいずれかに出ていて、それぞれがベストマイラーをめざし、秘策を練ってくる。
この5年で連対を果たした伏兵の戦い方からヒントを得たい。
4年前14番人気で2着に入ったケイデンスコールは、18番枠の大外で中団からやや後方で脚をため、残り2ハロンまで我慢、外に出して最速の上がり、3ハロン33秒6で追い込んでいた。新潟2歳Sを勝った力があったが、朝日杯FS13着、前走の毎日杯1800米4着で人気を落としていた。
3年前、9番人気で、2歳女王で桜花賞2着の本命馬レシステンシアを破ったラウダシオンは、勝負強さを発揮し、新種牡馬リアルインパクトにGI初勝利をもたらしていた。逃げるレシステンシアを2番手で追い掛けていたが、東京は1400米のクロッカスSを勝っていて、ゆったりと折り合いをつけていた。前走ファルコンSで2着としっかり準備はできていた。
そして2年前の2着馬ソングライン。桜花賞は外に張られて15着と大敗したため7番人気でレースを迎えていた。東京のマイルは初勝利を挙げた舞台で、強い勝ち方をしていたので、改めて期待はできた。スタートして二の脚がつき7、8番手のいい位置が取れ、直線はいったんは先頭に立つ激走を見せていた。
今年も東京へのコース替わりをプラスにととらえるものを考えたい。重馬場を苦にせずアーリントンCを差し切ったオオバンブルマイ。これとアタマ差の勝負をしたセッション。2歳王者ドルチェモアの復活も。コース実績がある。そして大外枠ダノンタッチダウン、距離短縮で直線での末脚に期待したい。
「狙ってた マイル最強 お墨つき」