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来週開催される「ロイヤルアスコット」8つのG1競走の見どころを解説

  • 2023年06月14日(水) 12時00分

競馬の番組面でも1つの大きな変更が


 英国王室が主催する、華やかにして厳かな「ロイヤルアスコット」の開催が、来週(6月20日〜24日)に迫っている。

 競馬が大好きで、ロイヤルアスコットの開催期間中は、毎日欠かさず競馬場にお姿を見せていたエリザベス2世が、昨年の9月に崩御。チャールズ3世が国王になってからは初めての「ロイヤルアスコット」となる。新国王が、はたしてどれほどの頻度でアスコット競馬場にお出ましになるか、英国の競馬ファンは期待と不安の中、その時を待っている。

 国王が変わって、競馬の番組面でも1つの大きな変更があった。最終日に組まれている、古馬による距離6FのG1プラチナジュビリーSの名称が、亡き前国王を偲んで、「クイーンエリザベス2世ジュビリーS」に改められることになったのだ。

 そのクイーンエリザベス2世ジュビリーSを含めて、開催期間中に行われる8つのG1競走の見どころをご紹介していきたい。

 なお、日本時間の14日(水曜日)午後8時に、初日に組まれた3つのG1の登録ステージが設けられているのを皮切りに、19日まで順次、2日目以降のG1の登録ステージが設けられている。本稿で取り上げた想定メンバーとは異なる顔触れになる可能性があることを、あらかじめご容赦いただきたい。

 まず、初日のオープニングカードとして定着している、ストレートマイルを使った4歳以上によるG1クイーンアンS(芝8F)。

 ここは、5月20日にニューベリーで行われたG1ロッキンジS(芝8F)を制し、この路線5度目のG1制覇を果したゴドルフィンのモダンゲームズ(牡4、父ドバウィ)が中心。

 実績的には、3歳だった昨年、G1コロネーションS(芝7F213y)、G1ジャックルマロワ賞(芝1600m)と、この路線のG1を2勝しているインスパイラル(牝4、父フランケル)が2番手評価。インスパイラルはここが今季の始動戦となるため、どこまで仕上がってるかがカギとなる。

 初日に組まれた3歳以上によるG1キングズスタンドS(芝5F)。

 中心となるのは、5歳だった昨季、G1モーリスドゲスト賞(芝1300m)、G1ナンソープS(芝5F)、G1フライングファイブS(芝5F)と、スプリントG1を3勝したハイフィールドプリンセス(牝6、父ナイトオブサンダー)と見られている。今季初戦となった、5月17日にヨークで行われたG2デュークオブヨークS芝6F)が2着と、悪くない競馬をしている。

 5月27日にヘイドックパークで行われたG2テンプルS(芝5F)で、古馬勢を撃破した3歳世代のドラマタイズド(牡3、父ショーケーシング)、2月18日にフレミントンで行われたG1ブラックキャビアライトニング(芝5F)を含めて、この路線のG1を2勝している豪州調教馬クーランガッタ(牝3、父リトゥンタイクーン)の2頭が、2番手評価となっている。

 同じく初日に組まれた、3歳牡馬によるG1セントジェームズパレスS(芝7F213y)。ここは、5月6日にニューマーケットで行われたG1英2000ギニー(芝8F)を制したシャルディーン(牡3、父フランケル)と、5月27日にカラで行われたG1愛2000ギニー(芝8F)を制したパディントン(牡3、父シユーニ)の対決が話題となってる。

 ここに、5月5日にグッドウッドで行われた条件戦(芝8F)を5.1/2馬身差で快勝し、デビューから無敗の3連勝を飾った新興勢力のシセロズギフト(牡3、父ムハーラー)が、どこまで絡むことが出来るか。

 続いて、2日目(21日)のメイン競走となる、4歳以上によるG1プリンスオブウェールズS(芝9F212y)。毎年豪華な顔触れが集まる一戦だが、今年もビッグネームが集結する見込みだ。

 中でも中心視されているのが、2年前の英ダービー(芝12F6y)勝ち馬アダイヤー(牡5、父フランケル)である。今季初戦となった、5月7日にニューマーケットで行われたG3ゴードンリチャーズS(芝10F)を快勝。ここにピタリと照準を定めての参戦となっている。

 2番手評価を分け合うのが、5月28日にカラで行われたG1タタソールズGC(芝10F110y)を制し、自身3度目のG1制覇を果したルクセンブルク(牡4、父キャメロット)と、昨秋のG1英チャンピオンS(芝9F212y)勝ち馬で、G1タタソールズGCが1/2馬身差の2着だったベイブリッジ(牡5、父ニューベイ)の2頭だ。本来ならばここに、昨年のG1英ダービー勝ち馬デザートクラウンが加わるはずだったのだが、6月10日の調教後に軽い故障を発生。ここは回避することになったのは、非常に残念である。

 3日目(22日)のメイン競走となる、4歳以上によるG1ゴールドC(芝19F210y)。中心と見られているのは、昨年秋のG2英チャンピオンズロングディスタンスC(芝15F209y)2着馬で、今季初戦となった5月3日にアスコットで行われたG3サガロS(芝15F209y)を4.3/4馬身差で制し2度目の重賞制覇を果したコルトレーン(セン6、父マスタークラフツマン)だ。

 昨年のG1セントレジャー(芝14F115y)勝ち馬で、今季初戦となった5月19日にヨークで行われたG2ヨークシャーC(芝13F188y)が2着だったエルダーエルダロフ(牡4、父ドバウィ)が2番手評価。

 4日目(23日)に組まれた、3歳牝馬によるG1コロネーションS(芝7F213y)。

 5月7日にニューマーケットで行われたG1英1000ギニー(芝8F)で、無敗の本命馬タヒーラを撃破して優勝したゴドルフィンのモウジ(牝3、父エクシードアンドエクセル)と、G1英1000ギニーで不覚を取った後、5月28日にカラで行われたG1愛1000ギニー(芝8F)をしっかりとモノにしたタヒーラ(牝3、父シユーニ)の、「リマッチ」がここで実現する。

 同じく4日目に組まれた、3歳馬によるG1コモンウェルスC(芝6F)。

 ここは、昨年8月にカラで行われたG1フェニックスS(芝6F)を7馬身差で圧勝し、そのパフォーマンスをもって欧州2歳ランキングの首位に立ったリトルビッグベア(牡3、父ノーネイネヴァー)が中心。今季初戦のG1英二千ギニーで14着に大敗した後、スプリント戦線への回帰を宣言。5月27日にヘイドックで行われたG2サンディーレーンS(芝6F)を快勝しての参戦となっている。

 昨秋のG2ミルリーフS(芝6F)勝ち馬で、今季初戦のG1英二千ギニーは7着だったサキール(牡3、父ゾファニー)が2番手評価。

 そして、最終日に組まれたG1クイーンエリザベス2世ジュビリーS(芝6F)。

 ここは、僅差の3着に終った昨年のリベンジに燃える豪州調教馬アルトリウス(牡5、父フライングアーティー)が中心視されている。迎え撃つのは、G1キングズスタンドSのところでご紹介したハイフィールドプリンセスになるか、あるいは、5月27日にカラで行われたG2グリーンランズS(芝6F)を4.3/4馬身差で快勝し、自身4度目の重賞制覇を果したアートパワー(セン6、父ダークエンジェル)になるか。

 ロイヤルアスコットの全G1競走は、6月29日に放送されるグリーンチャンネルの「ALL IN LINE〜世界の競馬」で、ノーカットでご紹介する予定だ。日本の競馬ファンの皆様にとっても必見のレースが目白押しだけに、ぜひご注目いただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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