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【新潟記念】40年間で2頭目の快挙

  • 2023年09月04日(月) 18時00分

快勝、そしてさらなる成長を期待


重賞レース回顧

新潟記念を制したノッキングポイント(撮影:小金井邦祥)


 3歳牡馬ノッキングポイント(父モーリス)の期待を上回る快勝だった。グレード制が敷かれた1984年以降、2018年ブラストワンピースに続き40年間で2頭目の3歳馬快挙になる。

 レース全体の流れは予測された通りの前半スローで「60秒6-58秒4」=1分59秒0。カラテが好位から抜け出し、最後方近くにいた当時7歳のユーキャンスマイルが2着した昨年の「60秒5-58秒4」=1分58秒9と同一にも近い流れだった。

 ノッキングポイントの好位追走は0秒2差の5着だった日本ダービーと同じでも、今回は内枠。直線で馬群をさばいて外に出たい混戦でもなく、インから突き抜けた。といっても、手前の替え方もあり一直線に伸びたわけではなく、右に左にヨレ気味の場面があった。

 それでも「体を大きく使えるようになった」と木村調教師が評価するように、若さは残しながらも春より確実に成長している。初の古馬相手の重賞を完勝は、陣営にも、2週つづけて重賞を制して復活となった北村宏司騎手にも大きな自信となるだろう。

 今後については「これくらいの距離で立ち回れたらいいかと思う(木村調教師)」と展望している。祖母ハッピーパス、母チェッキーノ、近親にシンコウラブリイのいるファミリーであり、ここまで2000m前後までに活躍馬を送る父モーリスの特徴から、おそらく菊花賞路線ではないだろう。古馬中距離路線のカベは厚く、同じモーリス産駒のジャックドール、ジェラルディーナなども待ち受ける。さらなる成長を期待したい。

 2着ユーキャンスマイル(父キングカメハメハ)は、これはもう見事というしかない。
4歳時の2019年に、1分57秒5(上がり33秒6)で勝ち、7歳時の2022年は1分59秒2(上がり33秒0)で2着。8歳時の今年も大外から猛然と伸びて1分59秒2(上がり33秒6)で2着。全妹の6歳ルビーカサブランカもこの夏の函館記念を2着。衰えとか陰りを見せないからすごい。今回も元気いっぱいの快走だった。

 3着インプレス(父キズナ)は復活の好走。3歳時までは通算【4-1-0-2】。オープンに昇格した4歳の今年は体調もう一歩で不振だったが、障害練習などで体力強化。菅原明良騎手のイン狙いの好判断もあったが、それだけではない。インプレス自身が確実に上昇カーブを描いている。

 1番人気の牝馬サリエラ(父ディープインパクト)は残念ながら7着。早めに新潟に入厩して輸送のロスを避け、万全の暑さ対策をとったが、1週前に落鉄した影響が残っていたのだろうか。当日は落ち着き十分と映ったが、気迫一歩だったかもしれない。勝負どころで反応が良くないのは前回の目黒記念と同じだが、気合を入れられてからの反応が、本来のサリエラではなかった。「こんなものではない、次はがんばりたい(国枝調教師)」と陣営は早々と巻き返しの姿勢をみせている。

 4着プラダリア(父ディープインパクト)は好位の外追走から一度は先頭に並びかけるシーンもあったが、これまでの自身の上がり3ハロン最高が34秒2。楽に行けた今回は自己最高の上がり34秒1。切れ味勝負になっては苦しかった。

 7歳マイネルウィルトス(父スクリーンヒーロー)は、最近は馬体重の変動が大きいので、今回の馬体重減は大きな死角ではないが、上位陣が上がり33秒台を記録するような流れでは渋い差し脚が生かせない。

 どうして、という理由が見つからないが、1984年以降の30年間には11勝もした「夏の牝馬」が、この10年間の新潟記念では連対0となったのは不思議だ。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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