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【神戸新聞杯】菊の舞台へ 新星となる者は

  • 2023年09月23日(土) 12時00分

新勢力がラスト一冠に虎視眈々と


 春の実績馬、特にダービー出走馬が圧倒的に強さを発揮してきた神戸新聞杯は、この10年で9勝2着6回、3着2回と圧倒的に成果を挙げてきた。1番人気6勝、2、3番人気が合わせて3勝、勝ち馬は全て5番人気以内で、ダービーで掲示板を確保していれば、ここでは絶対買いという安定感を見せている。

 本番の菊花賞に直結するトライアルだが、今年はメンバーを見渡すと、ダービー3着のハーツコンチェルトが目立っている。ダービーでは中団から向正面で6番手に上げ、直線は鋭い脚で伸びてきてクビ、ハナ差3着と、2400米で申し分ない走りだった。青葉賞2着からダービーに出ていたが、ハーツクライ産駒で成長力があり、本番での活躍が約束されている。

 これを追うのが、やはりダービー組のシーズンリッチとファントムシーフ、どちらも渋太く、スタミナがある。本番を見すえてどこまで成長してきたかだが、あくまでもこの次が目標だ。こうした今年の状況を見ていると、ダービーの舞台に立てなかった新勢力にも気持ちが動く。なんとしても菊花賞出走の権利をと満を持しているもの、秋に向けて上昇してきた上がり馬など、わずかなチャンスをと出走してくるものから異色の一頭を選択するのも意味がある。その一頭が無傷の3連勝のロードデルレイだ。

 今年に入ってデビュー、2連勝したが、ヒザの外傷で青葉賞に出走できないでいた。9月2日の新潟で復帰して2000米の特別戦を勝ったが、この3戦どれも上がり3F33秒台をマークしていて、勢いがある。ロードカナロア産駒で、2400米でどう折り合いをつけるか。初めての強いメンバーとの対戦で通用するかなど課題はあるが、ここまで負けていないことは強調できる。

 この10年神戸新聞杯に2戦2勝の無傷で出走した馬は、3頭しかいない。昨年のパラレルヴィジョンは4月と6月に中山と東京の2000米で連勝して3ヶ月ぶりのここでは一番人気だったが7着。出遅れてじりじりとしか脚を使えていなかった。3年前のグランデマーレは2歳時の11月に2連勝していたが骨折し、10ヶ月ぶりに出走。2番人気だったが最後バタバタになって17着。そしてもう1頭が8年前のキロハナで、1月と2月に勝っていたが骨折して7ヶ月ぶりに出て来て5番人気で14着と大敗に終わっていた。

 いずれもキャリア不足がひびいていたが、今年のロードデルレイは、9月に3戦目を勝ったことが大きな力になっていて、これまでの3頭とは別格としたい。そしてもう一頭、長丁場の経験が十分のサスツルギに注目する。父が持久力のあるハーツクライで、重賞は初参戦でもここまで5戦3勝、まだまだ奥がある。2ヶ月半の休養で英気を養って登場してきた。この新興勢力2頭にダービー組が対決するという図式になると見ているが、菊花賞戦線に大きく名乗りをあげる新星が登場できるか。

「これでよし 次はタイトル つかむだけ」

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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