スマートフォン版へ

【スプリンターズS】主役不在の秋GI開幕で目安となるものは

  • 2023年09月30日(土) 12時00分

一番分かりやすいのは斤量


 悲願のGI制覇へと準備を続けてきた成果が問われるとき。秋の第一弾スプリンターズSは、年度のスプリント部門のチャンピオンを決める一戦にもなっている。この2年のスプリントGI戦は、昨年春の高松宮記念が8番人気馬、秋のスプリンターズSも8番人気、そして今年の高松宮記念が12番人気の馬が優勝と、とにかく波乱が続いている。主役不在のまま秋を迎えているが、こういう混沌とした情況の時は目安になるものを見つけておきたい。

 一番分かりやすいのが斤量だ。斤量の軽い3歳馬、それと牝馬が毎年のように馬券圏内に絡んでいる。今年は3歳牝馬モズメイメイの54キロが目を引く。ここまで7戦4勝、5月の葵S1200米を1分7秒1で逃げ切っているが、前走の北九州記念は大外枠で前につけるまで脚を使った上に、脚をためることが出来ずに10着と大敗に終っていた。初の古馬相手で速い馬もいたので仕方がなかったが、この経験はこれから生きてくる。どう馬自体が進化してくるか、未知の部分が多いので伏兵として考えておきたい。

 ここまでのスプリント重賞の中で一番良績があるのがセントウルSでこの10年で5勝2着4回3着2回となっている。今年が14番人気のテイエムスパーダが逃げ切っているが、開幕週の馬場も味方していたと見るべきだろう。例年スプリンターズSはペースが速くなるので今度は楽ではなく、これを0秒2差まで追い詰めた2着のアグリを上位に取り上げたい。それまで1400米がベストだったが、春はスプリントGI戦で2度もまれていて、秋のセントウルSで成果を見せたと考えていいだろう。

 最速の上がり32秒4は、これまでになかった武器と評価できる。このセントウルS組では8着に終わったピクシーナイトも32秒9の上がりをマークしており、叩かれた上積みが期待できる。なにしろ2年前の3歳時にスプリンターズSを勝っている馬で実力はある。総じて、秋の阪神は速いタイムが続出していたので、その点は警戒しなければならない。今度は中山の最終週、差しの決まるシーンになることを想定したい。

 前哨戦の中では、キーンランドCも良績を残している。今年はナムラクレアが1番人気で勝利した。7枠14番から馬場のいい中団の外につけ鮮やかに抜け出していた。昨年は北九州記念3着から本番は5着だったが、今年はキーンランドCのタフな馬場を勝ちきっているので、4歳牝馬56キロでもあり、かなりの有力馬としておきたい。重馬場の洋芝で1分9秒9、この数字はこれまでの実績とくらべ遜色ない。クラシックを含めて6度目のGI挑戦になり、この馬が一番悲願達成の言葉が合っている。そして押えの伏兵として、ソダシの全妹で初の1200米だった北九州記念で最後まで脚を伸ばして2着だったママコチャを加えておく。4歳牝馬56キロ、2度目のスプリント戦というのが魅力だ。

「おめでとう 悲願達成 チャンピオン」

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング