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セール1億超のハヴァナグレイ産駒がG1制覇 ケンブリッジシャー開催を回顧

  • 2023年10月04日(水) 12時00分

牡馬とセン馬によるG3サマーヴィルタタソールズSは波乱の展開に


 先週のこのコラムで展望した、ニューマーケット競馬場のケンブリッジシャー開催で行われた2歳重賞を回顧したい。

 まずは、28日(木曜日)に行われた、牡馬とセン馬によるG3サマーヴィルタタソールズS(芝7F)。

 9月14日にネース競馬場のメイドン(芝6F)でデビュー勝ちしての参戦だったA.オブライエン厩舎のミリタリー(牡2、父シユーニ)が、オッズ3.25倍の1番人気、8月26日にニューマーケット競馬場で行われたノーヴィス(芝6F)でデビュー勝ちしての参戦だったJ&T.ゴスデン厩舎のエベンシャダッド(牡2、父カリークス)が、オッズ4.33倍の2番人気に推されたが、ミリタリーは4着、エベンシャダッドは3着に敗れる波瀾となった。

 勝ったのは、オッズ5倍の3番人気だったアルヤナービ(牡2、父トゥーダーンホット)。シャドウェルによる自家生産馬で、G1英千ギニー(芝8F)など2つのG1を制したガナーティの甥にあたる同馬。O.バローズ厩舎から6月にデビューし、ソールズベリー競馬場のノーヴィス(芝6F)を制して初戦勝ち、その後、アスコット競馬場のLRパットエデリーS(芝7F)では4着に敗退し、ここはそれ以来、2カ月ぶりの出走だった。

 ここで重賞初制覇を果たした同馬はこの後、10月14日にニューマーケット競馬場で行われるG1デューハーストS(芝7F)に向かう予定だ。

 2着に、前走サースク競馬場のノーヴィス(芝7F)を制しデビュー3戦目で初勝利を挙げての参戦だったボイリングポイント(牡2、父トゥーダーンホット、13倍の6番人気)が入り、今年の2歳が初年度産駒の新種牡馬トゥーダンホットの仔が、1、2着を独占している。

 続いて、29日(金曜日)に行われた牝馬によるG2ロックフェルS(芝7F)。

 7月27日にサンダウン競馬場で行われたLRスターS(7F)を制し、デビューから無敗の2連勝を飾っての参戦だったシュワリ(牝2、父ニューベイ)が、オッズ2.6倍の1番人気に推された。

 ところが、そのシュワリが出遅れて、道中最後方からの競馬に。残り2Fから猛然と追い込んだ同馬だったが、勝ち馬から2.1/4馬身差の2着に敗れた。

 勝ったのは、道中2番手から抜け出した3番人気(4.5倍)のカーラズウェイ(牝2、父スタースパングルドバナー)。今年6月3日にドンカスターのメイドン(芝6F111y)を制しデビュー勝ち後、アスコット競馬場のG3アルバニーS(芝6F)は8着に敗退。その後、喉鳴りの手術を受け、立て直されて出走した前走G3プレステージフィリーズS(芝7F)で2着となっての参戦だった。

 陣営はレース後、カーラズウェイを次走、11月3日にサンタアニタ競馬場で行われるG1BCジュベナイルフィリーズターフ(芝8F)に参戦させる意向を表明している。

 2歳重賞が3つ行われた30日(土曜日)の開催から、まずは牡馬とセン馬によるG2ロイヤルロッジS(芝8F)。

 8月15日にダンドーク競馬場で行われたメイドン(AW8F)でデビュー勝ち後、9月9日にレパーズタウン競馬場で行われたG2チャンピオンズジュベナイルS(芝8F)で2着だったキャピュレット(牡2、父ジャスティファイ)が、オッズ2.75倍の1番人気に推されたが、同馬は3着に敗退。勝ったのは、2番人気(4.33倍)のゴーストライター(牡2、父インヴィンシブルスピリット)だった。

 LRチェシャーオークス(芝11F75y)2着馬ムーアサイドの2番仔で、タタソールズ12月当歳市場にて10万ギニー(当時のレートで約1648万円)で購買された同馬。C.コックス厩舎から今年8月にデビュー。ニューマーケット競馬場のメイドン(芝7F)を3.1/2馬身差で制し緒戦勝ちを飾ると、続いて出走したアスコット競馬場の条件戦(芝7F)も白星で通過。さらに9月30日のG2ロイヤルロッジSも制して、無敗の3連勝で重賞初制覇を果たすことになった。

 この結果を受けゴーストライターは、来春のG1英2000ギニー(芝8F)へ向けた前売りで、オッズ13〜17倍の4〜5番人気、G1英ダービー(芝12F6y)へ向けた前売りで、オッズ17〜21倍の4番人気前後に浮上している。

 同馬は10月28日にドンカスターで行われるG1フューチュリティトロフィー(芝8F)に登録があるが、そこは回避し、来季に備える公算大と見られている。

 続いて、牝馬によるG1チェヴァリーパークS(芝6F)。

 8月17日にドーヴィル競馬場で行われたアルカナのボーナス競走クリテリウムデテ(芝1200m)を3馬身差で制し、無敗の2連勝を飾っての参戦だった仏国調教馬ジャズナズシークレット(牝2、父ガリウェイ)がオッズ3.5倍の1番人気に推されたが、初めて経験する起伏のある馬場に戸惑ったか、9着に敗退。勝ったのは2番人気(オッズ5.5倍)のポルタフォーチュナ(牝2、父カラヴァッジオ)だった。

 A.オブライエン調教師夫妻による生産馬で、G1オーストラリアンC(芝2000m)2着など2つのG1で連対を果たしたニューメリアンの姪にあたる同馬。D.オブライエン厩舎から今年4月にデビュー。カラのメイドン(芝5F)、ネース競馬場のG3フィリーズスプリントS(芝6F)、アスコット競馬場のG3アルバニーS(芝6F)をいずれも制し、デビューから無敗の3連勝を飾ったが、続くカラのG1フェニックスS(芝6F)で2着に敗れて連勝がストップ。前走カラのG1モイグレアスタッドS(芝7F)も3着に敗れていた。

 3度目の重賞制覇にして、待望のG1初制覇を果たした同馬の次走は、11月3日にサンタアニタ競馬場で行われるG1BCジュベナイルフィリーズターフ(芝8F)になる模様だ。

 最後に、牡馬によるG1ミドルパークS(芝6F)。

 道中は馬群後方に控えた1番人気(2.25倍)のヴァンディーク(牡2、父ハヴァナグレー)が、残り2Fで鞍上が仕掛けると鋭く反応。残り1Fで先頭に立った同馬が、そこから2.1/4馬身抜けて優勝を飾った。

 今年春のタタソールズ・クレイヴン2歳トレーニングセールにて、セッション最高値タイの67万5千ギニー(当時のレートで約1億2099万円)で購買されたのがヴァンディークだ。7月21日にノッティンガムのメイドン(芝6F18y)を制してデビュー勝ちを果たすと、8月3日にグッドウッドで行われたG2リッチモンドS(芝6F)も制し重賞初制覇。さらに前走、8月20日にドーヴィル競馬場で行われたG1モルニー賞(芝1200m)も勝って、無敗の3連勝でG1制覇を果たしていた。

 デビュー以来の成績を4戦4勝とした同馬は、来春のG1英2000ギニー(芝8F)へ向けた前売りで、オッズ7〜11倍の3〜4番人気に推されている。また同馬は、10月14日にニューマーケット競馬場で行われるG1デューハーストS(芝7F)の登録があるが、現在のところ出否は未定となっている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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