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スティープルチェイス2マイル路線における注目の1戦が行われる

  • 2024年01月17日(水) 12時00分

例年以上に大きな注目が集まっている


 今週土曜日(20日)、イギリスのアスコット競馬場で、スティープルチェイス2マイル路線における注目の1戦、G1クラレンスハウスチェイス(芝16F167y)が行われる。

 今年のこのレースに、例年以上に大きな注目が集まっているのは、今季のこの路線における「2トップ」が、こぞって出走意思を明らかにしているからだ。2トップとは、アイルランドの伯楽ウイリー・マリンズが管理するエルファビオロ(セン7、父スパニッシュムーン)と、イギリスの大御所ニッキー・ヘンダーソンが管理するジョンボン(セン8、父ウォークインザパーク)である。

 目下、各ブックメーカーが2倍を切るオッズを掲げて前売り1番人気としているのが、エルファビオロだ。

 仏国産馬で、G3アイエドプリンテンプス賞(芝4300m)2着馬クロスインハンドの半弟にあたる同馬。祖国で平地を1戦、ハードルを1戦し、いずれも勝ち星を逃した後、21/22年シーズンからマリンズ厩舎に在籍している。

 初年度はハードルを3戦し、2勝を挙げた他、エイントリー競馬場のG1トップノーヴィスハードル(芝16F103y)2着の成績を残した後、22/23年からスティープルチェイスに転進。より難易度の高い障害物を飛越するようになって、同馬の持つ高い資質が一気に開花することになった。

 初戦となったフェアリーハウス競馬場のビギナーズチェイス(芝16F)を19馬身差で制し、スティープルチェイス初勝利をあげると、続くレパーズタウン競馬場のG1アイリッシュアークルノーヴィスチェイス(芝17F)も10馬身差で快勝して、G1で重賞初制覇。3戦目となったのがチェルトナムフェスティバルを舞台とした、2マイル路線におけるノーヴィスチェイサーの頂上決戦となるG1アークルチャレンジトロフィー(芝15F199y)で、ここも2着ジョンボンに5.1/2馬身差をつけて快勝。戦線の最前線に躍り出ることになった。

 昨シーズンの最終戦となったのが、パンチェスタウン競馬場のG1バーバースタウンキャッスルノーヴィスチェイス(芝16F)で、ここも11馬身差で制し、4戦4勝の成績でシーズンを終えている。エルファビオロの今季初戦となったのが、12月10日にコーク競馬場で行なわれたG2ヒリーウェイチェイス(芝16F160y)で、ここも4.3/4馬身差で制した同馬は、スティープルチェイスにおける成績を5戦5勝としている。

 一方、各ブックメーカーが2.25〜2.75倍のオッズを掲げているジョンボンも、生まれたのはフランスだ。4歳秋に、アイルランドのドロマヘイン競馬場で行われたポイントトゥポイント競走に出走し、ここを15馬身差で圧勝。レースの4日後に開催されたゴスフUK11月市場に登場し、大手馬主のJ.P.マクマナス氏にセッション最高値となる57万5千ポンド(当時のレートで約8247万円)で購買され、ヘンダーソン厩舎の一員となった。

 ナショナルハントフラットで1戦1勝の成績を残した後、21/22年にハードルデビュー。このシーズンは5戦し、エイントリー競馬場のG1トップノーヴィスハードル(芝16F103y)など3重賞を含む4勝をあげた。ちなみに、G1トップノーヴィスハードルで首差の2着に退けたのが、エルファビオロだった。

 翌22/23年からスティープルチェイスに転進。このシーズンは6戦し、エイントリー競馬場のG1マグハルノーヴィスチェイス(芝15F176y)を43馬身差で制した他、ノーヴィスチェイサー限定ではないオープンクラスのG1セレブレーションチェイス(芝15F99y)を制するなど、3つのG1を含む5勝をあげた。 ジョンボンにとって、このシーズン唯一の敗戦となったのが、チェルトナム競馬場のG1アークルチャレンジトロフィーで、ここではエルファビオロに5.1/2馬身遅れをとる2着だった。今季のジョンボンはここまで2戦し、11月19日にチェルトナム競馬場で行われたG2チェルトナムチェイス(芝15F199y)を9.1/2馬身差で、12月9日にサンダウンで行なわれたティングルクリークチェイス(15F199y)を2.3/4馬身差で制し、連勝を飾っている。

 すなわち、エルファビオロとジョンボンはここまで2度顔を合わせ、対戦成績は1勝1敗なのである。

 さらに、アスコット競馬場のG1クラレンスハウスチェイスでは2年前の2022年も、ヘンダーソンとマリンズいう英愛両国を代表する調教師が送り込んだ2頭による、一騎打ちが展開されている。結果は、ヘンダーソン厩舎のシシュキン(セン8、オッズ1.83倍の1番人気)が、マリンズ厩舎のエナーガメン(セン8、オッズ2.25倍の2番人気)に、1馬身先着して優勝を飾っている。

 さまざまな因縁が渦巻く今週のG1クラレンスハウスチェイスは、絶対に見逃せない一戦となりそうである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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