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ロイヤルアスコット展望

  • 2007年06月12日(火) 23時50分
 来週の英国は、「競馬の華」と呼ばれるロイヤルアスコット(6月19日〜23日)の開催を迎える。5日間で6つのG1を含めて17の重賞が行われる見どころ満載の開催から、特に注目を集めているレースを抜粋して展望してみたい。

 2つのマイルG1が組まれた初日(19日)。3歳牡馬によるセントジェームスパレスSの主役は、今年に入ってイギリスとアイルランドの2000ギニーを連覇しているコックニーレベルだ。5月26日の愛2000ギニー後、1000万ポンド、日本円にして24億円を超える金額でこの馬を買いたいとのオファーがあったが、ロイヤルアスコットが終わるまでは交渉のテーブルにつかないと、現在の馬主さんが言ったとか、言わなかったとか。もともとは、当歳暮れのタタソールズ・ディセンバーセールで、1万51000ギニー(約380万円)で購買されていた馬だから、驚異の大出世と言ってよさそうである。英2000ギニー3着のダッチアート、仏2000ギニー勝ち馬アストロノーマーロワイヤル、仏2000ギニー・愛2000ギニーと連続して2着のクリーチアドワールなど、ストップ・ザ・コックニーレベルを目指す相手馬の顔触れも多彩である。

 初日に組まれた古馬によるマイルG1クイーンアンSの見どころは、ジョージワシントンがどんな競馬をするか、その1点に尽きると思う。英2000ギニーとクイーンエリザベス2世Sを制し、06年の欧州マイルチャンピオンとなったジョージワシントン。昨年一杯で引退し、この春から種牡馬入りする予定が、受精能力に問題があることがわかり、現役復帰が決定。陣営がカムバック緒戦に選んだのが、このレースなのだ。前走ニューバリーのG1ロッキンジSで2着したイタリアからの移籍馬ラモンティ、5月2日に同じアスコットで行われたマイルのLRパラダイスS勝ち馬セザールらが相手となるが、本領を発揮すればぶっち切って勝ってもおかしくはないメンバー構成となっている。

 ビッグネームがずらりとエントリーに名を連ね、絶対に見逃せない一戦となりそうなのが、2日目に組まれた10fのG1プリンスオヴウェールズSだ。その多彩な顔触れを、大手ブックメーカーの人気順に御紹介すると、まず筆頭が、昨年愛チャンピオンS、愛ダービーとG1を2つ持っていった、エイダン・オブライエン厩舎の4歳牡馬ディラントーマスだ。今季ここまで既に3戦し、カラの準重賞とロンシャンのG1ガネイ賞を連勝した後、前走カラのG1タタソールズGCは2着と、好調なシーズンを過ごしている。2番人気が、そのタタソールズGCでディラントーマスを斥けて優勝した5歳牡馬ノットナウケイト。昨年夏のインターナショナルSでも、ディラントーマスに後塵を浴びせてG1制覇を果たしている馬だ。昨年のBCターフ勝ち馬で、前走サンダウンのG3ゴードンリチャーズSで今季初勝利を挙げたレッドロックス。昨年後半3つの距離区分にまたがるG1・3連勝を果たし、前走今季緒戦のG2コリダ賞も快勝したマンデシャ。今季3戦目でそろそろ本領発揮が期待される昨年の英ダービー馬サーパーシーと、目移りするようなメンバー構成である。

 4日目の金曜日に組まれた、3歳牝馬によるマイルG1コロネーションSの見どころは、「仏1000ギニーの再戦」。5月6日から5月27日まで、わずか22日の間に3か国の1000ギニーを戦い、緒戦の英1000ギニーと3戦目の愛1000ギニーを制したものの、2戦目の仏1000ギニーで僅か頭差の2着に敗れて、歴史的ハットトリックの達成を逃したフィンスケールビオ。仏1000ギニーを制したダルジナとの再戦が、早くもここで実現するのである。そこに、デビューから無敗の3連勝でドイツの1000ギニーを制したミエマが加わり、見逃せない戦いとなりそうだ。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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