サマーシリーズ2000の第一戦とあって、関西馬が7頭も出走してきた。福島の2000mのこのレースに限れば、コース形態や最終週の荒れた芝から必ずしも狙いの一戦とはいえないが、「ポイント加算のためには……」、そんなニュアンスの遠征馬が増えた点で一段と難しいハンデ戦になったかもしれない。
勝ったサンバレンティンは57kgのハンデが嫌われて6番人気にとどまったが、これで福島コースは3戦3勝。もっともこのコース向きで、なおかつ少し時計のかかる荒れた馬場向きだったのがこの馬だったといえる。重馬場の福島記念を差し切っている同馬は、今回はどうみても有利とはいえない内枠を引き、陣営は「思い切って最後はインを衝きたい」。レース前からそういう作戦を立てていたらしい。
前半はなだめて進み、3コーナーでは2着に突っ込んできたアドマイヤモナークとともに最後方に近い位置取り。そこからコースロスを最小限にとどめるようにスルスル内から進出したサンバレンティンは、予定通り意を決して直線も一番内に突っ込んだ。
一方、同じような位置にいたアドマイヤモナークは、振られないように仕掛けを遅らせつつ最後までスパートを待って直線だけ大外へ。記録に残るそれぞれの上がり3ハロンはまったく同じ35.7秒だが、小回りコースで馬群がほとんどひと塊になったところから、一方は最内へ、片方は大外へ回って馬群を挟み込むように1〜2着。芝の荒れた福島でもめったに見られない、それぞれ絶妙のコース取りだった。
決して福島の2000mが合っているとも思えないアドマイヤモナークは、負けたとはいえポイント加算を考えると文句なしだろう。サンバレンティンは、シャダイチャッター、ワンモアチャッター、スピークリーズンなどが代表する平坦一族でもあり、時計勝負に課題はあるが、次に目標とするのは小倉記念になる。
上がり馬ユメノシルシは、内外から強襲されてしまったが、完全に差す形を身につけて小差3着。力は出し切っている。期待したニホンピロキースは、うまく2番手で折り合い4コーナー先頭。自分の形に持ち込めたが最後はあと一歩のパンチが足りなかった。力は出し切っている。
1番人気に支持されたヴィータローザは当日の気配も文句なし。馬体ももっとも良くみえたが、もまれて後方の位置取りになり、早めのスパートから粘りこみに出る自分の理想の形にならなかった。小倉記念で巻き返したい。結果は8着でも、1年ぶりで格上がりの一戦にも近かったアップドラフトの好馬体と、4コーナーであわやの見せ場を作ったレース内容は光った。走りにくい馬場状態だったからかもしれないが、ストーミーカフェもただ行くのではなく今回のように前半1000m通過59.8秒の平均ペースの逃げが打てるようになったから、この次は怖い。
それにしても今回の福島の芝は、最初の第一週から整備も管理も大変なことであることを思わせ、芝の育ち方が著しく悪いように映った。世界に広まりつつある「オールウェザートラック」を最初に導入することを考えていいのが、気候や地理的な条件を考慮するとき、JRAでは福島の芝コースではないかと感じた。