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全ての指標が下がったサラトガ・イヤリングセール

  • 2007年08月14日(火) 23時50分
 北半球の各国で行われるメジャーな1歳馬市場としては、最も開催時期の早い「ファシグティプトン・サラトガ・セレクテッド・イヤリング」が、8月6日・7日の両日に渡って行われた。

 注目の市況は、総売り上げが4108万ドル(前年比2.3%減)、平均価格が289,310ドル(前年比10.6%減)、中間価格が227,500ドル(前年比7.1%減)、バイバックレートが24.4%(前年18.7%)と、主要な指標がすべて下を向いてしまった。2000年以降、サラトガの市場で平均価格が30万ドルを下回ったのは02年に次ぐ2度目のことで、関係者にとっては残念な結果となった。

 市場の中身は、同じファシグティプトン社が7月にケンタッキーで催した「ケンタッキー・ジュライ・イヤリング」と、極めて似通ったものだった。すなわち、上場馬の数が前年より20%ほど多かったにも関わらず、ケンタッキーの総売り上げは前年に比べて2.3%の微増で、サラトガの総売り上げは僅かな減少。ケンタッキーでは、前年120万ドルだった最高価格が今年45万ドルに急落し、すなわち高い価格帯が期待したほど伸びなかったのが不調の原因で、サラトガも、中間価格の下落幅より平均価格の下落幅の方が大きいということは、やはり高い価格帯に元気がなかったことを意味している。そしていずれもバイバックレートが上昇したということは、カタログのクオリティとクワンティティに比して、購買側が用意をしていた資金量が不足していたと見て良さそうだ。

 しかし、昨年の1歳馬市場が余りにも高く、今年は調整局面が訪れるであろうことは予測されていたし、ましてや7月末以来アメリカの株式市場が不穏な動きを見せていたことを考えれば、概ね想定の範囲内にあった結果と言えそうだ。

 最高価格馬は、2日目に登場した父ミスターグリーリー・母ウィンマイハートの牡馬。複数のバイヤーによる争奪戦の末、チーム・ヴァラーのバリー・アーウィン氏が購買した。アーウィン氏によれば、カタログを見ずに全ての上場馬を見て廻った結果、馬体面の出来が傑出していたのがこの馬だったそうだ。今後は、この馬のために50人ほどのメンバーを募り、シンジケートを組織して共同所有する計画だそうだ。

 なお、日本人によると見られる購買は、ゼロ。7月の「ケンタッキー・ジュライ・イヤリング」もゼロだったから、今年1月以来の「日本人による外国産馬買い控え傾向」は、セールの主役が2歳馬から1歳馬に移っても、全く変わることなくい続いていることになる。今後のアルカナ・ドーヴィル(8月17日〜20日)、キーンランド・セプテンバー(9月10日〜25日)、タタソールズ・オクトーバー・パート1(10月9日〜12日)といった、日本人バイヤーにとってお馴染みの大手市場でどんな動きがあるのか、例年以上に注目されるところである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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