スマートフォン版へ

ブリーダーズC展望

  • 2007年10月23日(火) 19時56分
 今週末にニュージャージー州のモンマスパークで行われるブリーダーズC。全11レースを順を追って展望していきたい。

 まずは、26日(金曜日)に行われる新設3レースから。

 牝馬によるダート6fのフィリー&メアスプリント。12頭いる登録馬から、ヒステリカレディーはディスタフへ、ラトラヴィアータはスプリントに廻る公算大。となると、主軸となるのは、ベルモントのG1プライオレスS(6f)、サラトガのG1テストS(7f)と、目下この路線のG1連勝中の3歳牝馬ドリームラッシュか。これを追うのが、前走サラトガのG1バレリーナS(7f)を制しているメアリーフィールド(牝6歳)。逆転があれば、アルゼンチンからの移籍馬で、前走初ダートのG2ギャラントブルームH(6.5f)を制したジャジー(牝5歳)か。

 2歳馬による芝1マイルのジュヴェナイルターフ。フルゲート12頭に23頭がエントリーしている大乱戦だが、オールウェザーで実績を残している馬がファンの支持を集めそうだ。中心となりそうなテキサスフィーヴァー(父ヴィクトリーギャロップ)は、9月29日にターフウェイパークで行われたG3ケンタッキーCジュヴェナイルの勝ち馬。10月6日にキーンランドで行われたG1ブリーダーズフューチュリティ3着馬オールドマンバック(父ホールドザットタイガー)がこれに続く。

 ダート8fによるダートマイルは、10頭に満たない少頭数になる公算大だが、中身は濃い。クラシックで人気のロイヤーロンの3着となったG1ウッドウォードSをはじめ、G1・3着が3回続いた後、前走G2メドウランズCを制したダイヤモンドストライプス。この路線の春のG1メトロポリタンHの勝ち馬コリンシアン。昨年のG1シガーマイル勝ち馬ディスクリートキャット。アーリントンのG2ワシントンパークH勝ち馬ルイスマイケルなど、今季の北米古馬ダート戦線を彩った強豪たちの名が並んでいる。

 27日(土曜日)に行われる、既存のG1・8レース。

 2歳牝馬によるダート8.5fのジュヴェナイルフィリーズ。10月6日にベルモントパークで行われたG1フリゼットSを、デビュー2戦めながら4.1/2馬身差で制したインディアンブレッシング(父インディアンチャーリー)と、9月29日にサンタアニタで行われたG1オークリーフSを制したクライアンドキャッチミー(父ストリートクライ)という、ボブ・バファート厩舎の2頭が人気を集めそうだ。9月15日にベルモントパークで行われたG2メイトロンSを含めて、ここまで3戦3勝のプラウドスペル(父プラウドシティズン)も素質は高い。2歳牡馬とセン馬によるダート8.5fのジュヴェナイルは、10月6日にベルモントで行われたG1シャンパンSを含めて3戦3勝のウォーパス(チェロキーラン)が中心。10月6日にキーンランドで行われたG1ブリーダーズフューチュリティを制したウィックトスタイル(父マッチョウノ)も、3戦3勝という無敗馬。9月15日にベルモントパークで行われたG2フューチュリティSの1、2着馬テイルオヴエカティ(父テイルオヴキャット)とコーディアックカウボーイ(父ポッセ)あたりも、評価は高い。

 牝馬による芝11fのフィリー&メアターフで中心視されているのが、ここまで7戦7勝で来ているナショバズキー(牝4歳)だ。本番の舞台となるモンマスパークで7月に行われたG1ユナイテッドネイションHで、ターフで有力視されているイングリッシュチャネルの2着となっているハニーライダー(牝6歳)。7月にニューマーケットの牝馬限定G1ファルマスSを制している、英国からの遠征馬シンプリーパーフェクトらが相手となりそう。

 ダート6fのスプリント。9月1日にサラトガで行われたG1フォアゴーS(7f)勝ち馬ミッドナイトルート(牡4歳)、同じく9月1日に本番と同じモンマスパークの6fを舞台とした特別アイスカペードSの勝ち馬スモーキーストーヴァー(セン4歳)といった古馬勢に、9馬身差の圧勝を演じたサラトガのG3ヴィクトリーライドS(6f)を含めて3戦3勝のラトヴィアータ(牝3歳)、10月7日にサンタアニタで行われたG1アンシェントタイトルH(6f)を制したイディオットプフール(牡3歳)といった3歳勢が挑む。

 芝8fのマイルは、ロイヤルアスコットの3歳G1セントジェームスパレスSを制した後、G1サセックスS、G1クイーンエリザベス2世Sという、欧州のマイル基幹G1で続けて2着となっているエクセレントアート(牡3歳)が中心か。これを、デルマーのG1エディーリードH(9f)勝ち馬で、前走ベルモントのG2ケルソH・2着のアフターマーケット(牡4歳)や、そのケルソHの勝ち馬トリッピズストーム(セン4歳)、芝転向後、負け知らずの3連勝を飾っているノービズライクショーボズ(牡3歳)らが、これを迎え撃つ。

 牝馬によるダート9fのディスタフ。アンブライドルドベル(牝4歳)とインディアンヴェイル(牝5歳)という、9月30日にベルモントパークで行われたG1ベルデイムSで1、2着した、トッド・プレッチャー厩舎の2頭が人気を集めそう。これに続くのが、G1・2勝馬でベルデイムでは3着だったジンジャーパンチ(牝4歳)と、古馬勢の評判が高い。

 芝12fのターフは、凱旋門賞馬ディラントーマスが断然の存在になりそうだ。地元代表は、前走9月30日にベルモントパークで行われたG1ジョーハーシュ・ターフクラシックで5度目のG1制覇を果たしたイングリッシュチャネル。ここまで2戦2勝と、モンマスの芝では負け知らずなのは心強い。今季は目立った活躍がない前年の覇者レッドロックスも、臨戦態勢は前年と似ており、一慨に侮るのは危険か。

 メインとなるダート10fのクラシックは、レベルが高いと言われる3歳勢によるアタックを、古馬最強のロイヤーロンが防ぐことが出来るかどうか、というのが戦いの構図だ。

 サラトガでG1・2連勝した時のロイヤーロン(牡4歳)は、まさに手のつけられない強さだった。最終プレップとして出走したベルモントパークのG1ジョッキークラブGCでは、3歳のカーリンに敗れたが、馬場の大きなベルモントパークよりは小回りのモンマスの方が競馬がしやすいだろうと言われている。

 ダービー1、2着のストリートセンス(牡3歳)とハードスパン(牡3歳)。モンマスパークのG1ハスケル招待Hを含めて目下重賞3連勝中のエニーギヴンサタデー(牡3歳)。西海岸の最終プレップ・G1グッドウッドSを制したティアゴ。そして、G1ジョッキークラブGCでロイヤーロンを破ったカーリン(牡3歳)と、3歳勢のラインナップは確かに強力だ。

 10年振りにひと桁の出走馬による争いとなるクラシックだが、メンバーは近年になく充実していると言えそうだ。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング