ファシグティプトン・ノヴェンバーセールで6億6000万の牝馬出現
つい1週間前にモンマスパークで行われたブリーダーズCに出走した馬を含めて、現役上がりのトップ牝馬が多数集められた「ファシグティプトン・ノヴェンバーセール」が、11月4日ケンタッキーで開催され、随所で派手な空中戦が展開された。
最高価格は、上場番号72番として上場された、5歳牝馬ラウンドポンド。御存知、昨年のブリーダーズCディスタフの勝ち馬で、3歳時にはニューヨークトリプルティアラの1つであるエイコーンSも制している名牝である。更に母の兄弟に、愛2000ギニー馬ブラックミナルーシュ、英2000ギニー馬ペニカンプ、ストゥルブS勝ち馬ナスルエルアラブと3頭のG1勝ち馬がいる良血で、確かに繁殖牝馬として極めて高い価値のある牝馬であった。
購買価格は、このセールとしては85年にG1・6勝馬ミスオーシアナがノーザンダンサーを受胎して上場された際に記録された700万ドルに次ぐ、このセールとしては歴代2番目の高値となる575万ドル(約6億6000万円)。購買者は、シェイク・モハメドの代理人のジョン・ファーガソン氏であった。
ファーガソン氏はこの他、春にマザーグースSとCCAオークスの2冠を制し、先日行われたBCディスタフでも僅差の3着となったオクターヴ(牝3歳)を、セール2番目の高値となる400万ドルで購買した他、03年のG1ガーデンシティーH勝ち馬で、キングマンボを受胎して上場されたインディーファイヴハンドレッド(牝7歳)を300万ドル、昨年のG1スピンスターS勝ち馬アシシエンプレ(牝5歳)を、同じく300万ドルで購買するなど、相変わらず極上の牝馬をセレクトしての旺盛な購買を示した。
今年は前年に比べて、上場頭数が3割近く少なくなったため、セール全体の売り上げ5203万ドルは前年に比べて2割近い落ち込みとなったが、平均価格は前年比28.9%アップの48万6318ドル、中間価格も前年比2.8%アップの18万ドルと、全体の市況も良好なものとなった。
そんな中、日本人によると見られる購買は6頭。
昨年、G2ファンタジーSで勝利を収めた他、G1マザーグースSでも3着に好走したレディートゥブリーズ(牝4歳)が82万5000ドルで購買された他、同じく昨年、G1オークリーフSを勝ったキャッシュインクルーデッド(牝3歳)が65万5000ドルで購買されるなど、日本の生産者も北米におけるトップ牝馬の獲得に成功している。
アメリカでは現在、キーンランド社主催の「ノヴェンバーセール」が開催されているが、これが終わるといよいよ、欧州最高の牝馬セール「タタソールズ・ディセンバーセール」がニューマーケットで開催される。ファシグティプトン・ノヴェンバーに負けじと超A級馬が揃っているタタソールズ・ディセンバーのカタログについては、次回のこのコラムで御紹介する予定である。