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ケンタッキーで12億円牝馬出現

  • 2007年11月13日(火) 23時50分
 先週のコラムで、11月4日にケンタッキーで行われたファシグティプトンの繁殖牝馬セールで、575万ドル(日本円にして6億6千万円)の牝馬が出現したという話題をお伝えしたが、翌11月5日からスタートしたキーンランド繁殖セール(1月19日までの予定で現在も開催中)の初日に、遂に1千万ドルの大台を越える1050万ドル(約12億円)で購買された牝馬が登場した。プレイフルアクトという父サドラーズウェルズの5歳牝馬についたこの価格は、昨年のタタソールズ・ディセンバーセールでマジカルロマンスという牝馬についた460万ギニー(当時の換算レートで、およそ940万ドル)を上回る、繁殖牝馬の歴代ワールドレコードで、良質の牝馬を巡る争奪戦は益々過熱しつつあることを窺わせる。

 今季ここまでのブラッドストック・マーケットの動向を振り返ると、春の2歳馬市場や夏以降の1歳馬市場は、概ね「トップエンドのマーケットは不調、中間価格帯以下は堅調」という傾向で推移していた。ところが秋になって繁殖牝馬セッションがスタートした途端に、トップエンドの市場がヒートアップ。ここまでとは一変した状況となっている。

 さて、12月に入ると繁殖牝馬セールのサーキットは欧州へと移り、12月3日から英国のニューマーケットで、欧州では最高品質の牝馬が上場される「タタソールズ・ディセンバーセール」が行われる。現在の流れを踏襲するとすれば、ここも高い価格帯での派手なドンパチが期待できそうで、キーンランドに奪われた「歴代最高価格」の称号を奪回する馬が出現するかどうか、注目が集まるところだ。

 上場される牝馬自身の競走成績言えば、目玉商品は、凱旋門賞当日にロンシャンで行われたG1オペラ賞を制したサトワクイーン(上場番号1972番)か。今年のロイヤルアスコットにおけるG1コロネーションS勝ち馬インディアンインク(上場番号1962番)、同じく今年の春に行われたマイルG1ロッキンジSの勝ち馬レッドイヴィー(上場番号2225番)らにも、購買者の注目が集まりそうだ。

 血統的な面で筆者が最も注目しているのが、上場番号2195番のマデュラ(牝4歳)だ。先日発表されたワールドリーディグホーストップ50でも首位に立った、今季の欧州最強馬マンデュロの1つ下の妹で、マンデュロの父モンズンを受胎して上場されるのである。来年生まれてくるのは、マンデュロの3/4弟か妹になるわけで、今年の最高価格候補の筆頭ではないかと見ている。

 この他、キーンランドで歴代最高価格をマークしたプレイフルアクトの母マグニフィセントスタイルが、欧州のトップサイヤー・ガリレオを受胎して上場されたり(上場番号2239番)、この春に英愛2000ギニー連覇を達成したコックニーレベルの母ファクティスが、コックニーレベルの父ヴァルロワイヤルを受胎して上場される(上場番号2272番)など、血統的注目馬も目白押しである。

 更には、今年のG2リッチモンドS勝ち馬で、来年の英国2000ギニーの有力候補となっているストライクザディール(牡2歳、上場番号2014番)が上場されるのも、大きな話題を呼んでいる。

 また、日本関連で言えば、「タタソールズ・ディセンバーセール」は、「薔薇一族」の祖として知られるローザネイ、ナリタブライアンやビワハヤヒデの母パフィシカス、フサイチコンコルドの母バレークイーン、ジャングルポケットの母ダンスチャーマー、キングカメハメハの母マンファス、エルコンドパサーの母サドラーズギャルらが発掘された市場でもある。日本人によると見られる購買馬にも、おおいに注目したい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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