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リフレクトタイムズ、ケンタッキーダービー戦線に名乗り

  • 2008年01月08日(火) 23時50分
 年末に北米のサンタアニタから、嬉しいニュースが飛び込んできた。12月28日に行われたアロウワンスを、日本産馬リフレクトタイムズが快勝。デビュー2連勝を飾り、ケンタッキーダービー戦線に浮上してきたのである。

 リフレクトタイムズは、新冠のノーズヒルズマネージメントの生産馬。父フレンチデピュティ、母フランカ、母の父シーキングザゴールドという血統で、昨年春のG2フィリーズレビューでアストンマーチャンの3着になったハギノルチェーレの1つ年下の弟にあたる。

 母フランカは米国産ながら愛国で競馬をした後、01年にノーズヒルズマネージメントの繁殖牝馬として導入され、リフレクトタイムズは4番子になる。牝系は、ごく近いところから北米のG1勝ち馬ダンスナンバー、同じく北米のG1勝ち馬で種牡馬としても大成功したプライヴェートアカウント、欧州の重賞勝ち馬で日本で種牡馬として大成功しているアサティスらがいて、遡れば6代母がグラマーという、北米でG1勝ち馬を綺羅星の如く輩出している、超名門ファミリーである。

 フランカ導入の決め手になったのは、母の父がシーキングザゴールドである点だったそうだが、この馬の導入以降北米では、マジェスティックウォリアー、パインアイランド、ポメロイ、グッドリワード、リスカヴァーズなど,母の父にシーキングザゴールドを持つG1勝ち馬が続々と誕生しており、極めて先見の明のある購買だったと言えそうだ。

 牝系や母の父シーキングザゴールドの特性に加えて、父フレンチデピュティも、自身が北米ダートの重賞勝ち馬であるだけでなく、日米で輩出した代表産駒にもクロフネやレフトバンクをはじめダートで超一流の実績を築いた馬が多いことから、リフレクトタイムズの血統的背景は明らかに「ダート向き」。そこで、常に国際的視野を持って生産と競馬に関わっているノーズヒルズマネージメントの前田幸治オーナーが、本馬を北米デビューさせる決断を下したのである。

 北米で本馬を管理するのは、07年もティアゴ、アフターマーケットといったG1勝ち馬を育てた西海岸のトップトレーナー、ジョン・シレフスで、昨年8月にデルマーのメイドンでデビューを果たしたのだが、その勝ち方が実に印象的だった。スタートダッシュに失敗し、道中は馬群のほぼ最後方。レース前半は先行馬群から15、16馬身離された位置をトボトボと追走し、これは勝負にならないかと見ていたら、3コーナー過ぎから目の覚めるような脚を繰り出して他馬をごぼう抜き。小回り馬場の北米では滅多に見られぬ強烈な追い込み勝ちを決めたのである。

 その後4か月近い休養をはさみ、デビュー2戦目となったのが12月28日のアロウワンスだったのだが、ここでも道中は6頭立ての最後方。それでいながら、またも直線一気の大逆転で2連勝を飾ったのだ。

 次走はいよいよ重賞挑戦とのことなので、2月20日にサンタアニタで組まれているG2サンヴィセンテSあたりが目標となるはずだ。

 ノースヒルズの前田幸治オーナーと言えば、02年のケンタッキーダービー戦線に自家生産馬のサンデーブレーク(父フォーティナイナー)を送り込み、G2ピーターパンSに勝って、3冠最終戦のG1ベルモントSで3着になった実績がある。サンデーブレークは、残念ながらケンタッキーダービーは賞金不足で出走がかなわなかっただけに、リフレクトタイムズにはぜひ順調にダービー戦線に乗ってもらいたいところである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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