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北米ケンタッキーダービー戦線動きあり

  • 2008年02月12日(火) 23時50分
 日本でも春のクラシックへ向けた戦線が活発化しているが、北米でもケンタッキーダービーを目指す大物たちが続々と3歳シーズンのキャンペーンを始動させている。

 2月9日(土曜日)にルイジアナ州のフェアグラウンズで行われた8.5FのG3リズンスターSに、昨年のBCジュヴェナイル2着馬パイロ(父プルピット)が登場。レースは、半マイル通過が49.50秒、6F通過が1分14秒62というスローな流れになった中、パイロのポジションは馬群の最後方で、果たしてあの位置から届くのかとファンの気を揉ませたが、直線で桁違いの末脚を発揮。前走G3ルコントS優勝のジーフォーチュン(父サイフォン)に2馬身の差をつける快勝で、順調に今季のスタートを切った。

 管理するのは、昨年の全米年度代表馬カーリンを手掛けたスティーヴ・アスムッセン師だが、レース後「カーリンと何度も併せ馬をした成果が出たようだ」と、ご満悦の表情を見せた。

 次走は、3月8日に同じフェアグラウウンズで行われるG2ルイジアナダービーが予定されているパイロ。2歳シーズンは、BCジュヴェナイルを制して2歳チャンピオンとなったウォーパスと3回戦い、1度も先着することが出来なかったが、ひと冬越えて大きな成長の跡がうかがえるだけに、2頭の序列が逆転するシーンも意外に早く見られるかもしれない。

 翌2月10日(日曜日)にカリフォルニア州のサンタアニタで行われた7FのG2サンヴィセンテSも、少頭数ながら興味深い組み合わせとなった。

 1番人気は、暮れのG1キャッシュコールフューチュリティーの勝ち馬イントゥーミスチフ(父ハーランズホリデー)。ラスヴェガスヒルトンや英国のブックメーカー・ブルースクエアが、ウォーパスやパイロらを抑えてケンタッキーダービーの前売り1番人気に推していた馬である。

 レースは、道中2番手にいたイントゥーミスチフが、直線入り口で先頭に立ったところへ、3番人気のジョージーボーイ(父トライバルルール)が襲いかかり、結局ジョージーボーイがイントゥーミスチフに3.1/4馬身差をつける快勝劇を演じることになった。

 ジョージーボーイは、昨年9月にデルマーで行われたG1デルマーフューチュリティーの勝ち馬。大きな素質を感じ取った陣営が、馬に成長の期間を与えるために、その後は休養。ここは5か月振りの実戦だったが、陣営の目論見通りに心身ともに大人になったところを見せたと言えそうだ。

 週末に行われた2レースを受けて、ブルースクエアはケンタッキーダービーへ向けたパイロのオッズを17倍から8倍に修正。この結果、パイロがケンタッキーダービー前売りの単独1番人気となった。

 一方のラスヴェガスヒルトンも、パイロのオッズを16倍から13倍に下げて、こちらは、イントゥーミスチフ、1月12日にサンタアニタで行われた8FのG3サンラファエルSを含めて3戦3勝のエルガトマロ(父エルコリドール)との、3頭横並びの1番人気となっている。

 なお、サンヴィセンテS勝ち馬ジョージーボーイは、血統的に距離に疑問があると見られたか、ブルースクエアで26倍、ラスヴェガスヒルトンで31倍と、ダービーの前売りにおける評価は低いものとなっている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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