先週末にフランスとイギリスで行なわれた、凱旋門賞に直結する4つのレースは、それぞれ期待馬が期待のたがわぬレース振りで快勝。まさしく「役者が出揃った」形となった凱旋門賞が、おおいに楽しみになってきた。しかも、有力馬に対する評価がブックメーカーによって千差万別。馬券的にもかってないほど面白い凱旋門賞となりそうである。
まず15日(土曜日)に英国のドンカスターで行なわれた英セントレジャーは、前哨戦のグレートヴォルティジュールSを制して1番人気に推されたミランが、5馬身差で快勝。管理するエイダン・オブライエン師、鞍上のマイケル・キネーン騎手に、初のセントレジャー優勝をもたらした。この後は、70年の凱旋門賞で3冠馬ニジンスキーが敗れて以来タブー視されている、「セントレジャーから凱旋門賞」のルートをとることになった。「トート」は、このミランを4対1のオッズで本命視。一方、「コーラル」は8対1と倍のオッズを掲げ、伏兵の域を出ない評価にとどめている。
16日(日曜日)にロンシャンで行なわれた、3歳牡馬によるニエル賞は、仏ダービー1・2着馬アナバーブルー、チチカステナンゴという地元期待馬を斥け、英国から遠征した春の2000ギニー馬ゴーランが優勝。英ダービー(2着)、愛ダービー(3着)の連敗で暴落していたこの馬の株が、再び急騰することになった。凱旋門賞はこのところ3歳馬が7連勝中。しかもここ5年の勝馬は、揃ってニエル賞をステップにしているということで、このゴーランを3対1の2番人気と高く評価したのが「コーラル」。一方、10対1で穴馬の1頭としてしか見ていないのが「ラドプロークス」だ。
同じ16日にロンシャンで行なわれた3歳牝馬のヴェルメイユ賞は、仏オークス馬アクアレリスタが優勝。デビュー以来続いている無敗の連勝記録を「4」に伸ばした。「アレフランス以来の名牝」とまで言われるアクアレリスタを、各ブックメーカーは押し並べて高く評価。7対2から11対2で、2番人気から4番人気となっている。
同じく16日にロンシャンで行なわれた、古馬によるフォワ賞は、キングジョージ3着馬ハイトーリが人気に応えて快勝。この馬も、7対2で3番人気の「コーラル」から、7対1で6番人気の「トート」まで、評価にばらつきがある。
目下のところ、ほとんどのブックメーカーが本命に推しているのが、8月のヨークのインターナショナルSをぶっちぎり、131というレイティングで欧州暫定チャンピオンの座にあるサーキー。オッズは、5対2から5対1の間にある。
ここに、ニエル賞2・3着アナバーブルー、チチカステナンゴ。バーデン大賞を勝ったモーシュディ。1番人気で敗れた仏ダービーの雪辱を期すマイレピストール(今週末のプリンスドランジュ賞出走予定)。サンクルー大賞の勝馬ミリオ。昨年2着馬エジプトバンド。重賞2連勝で復活した昨年のタイムフォームレイト、2歳首位ネイエフらが絡んでくるのだから、まさに多士済々。どこからでも馬券が買えそうな凱旋門賞である。