展開を考えたときに、まさか2番手に付けて先行するとは思いもよらなかった7歳カンパニー(横山典騎手)の鮮やかな先行抜け出しが決まった。いつも追い込んで届かずのイメージがあっただけに、テン乗りの横山典騎手はある程度の位置に付けることはレース前から考えていたというが、それにしても痛快な変身だった。
中山記念は「スペシャリストの距離」と形容されるくらいリピーターが快走することで知られるが、これでカンパニーは中山記念2着、4着、1着となった。一方、人気の中心でちょっと脚を余す形になったエアシェイディも、これで中山記念4着、2着、3着。ともに7歳馬だけにさすがに来年は…と思われるが、昨年、ローエングリンは8歳で勝っている。
1800m巧者ベテラン10歳のアサカディフィートが差のない5着に突っ込んでくるレースなのだから、初コースで2着した6歳エイシンドーバーや、4着にとどまった5歳マルカシェンクは、来年は要注意だろう。
勝ったカンパニーはこのあと安田記念に直行する予定とされる。昨年、関屋記念を1分31秒8で楽勝したときも、天皇賞(秋)を3着に好走したときも充電した休み明け。まだ通算23戦しかしていないだけに、安田記念でも有力馬の1頭だろう。
エアシェイディは前回のAJCCが勝負どころで少し仕掛けを遅らせて待ち、最後にもう一回脚を使うことで詰めの甘さをカバーできたのだから、今回のようなよどみない平均ペースになるとスパートのタイミングが難しい。充実していることは間違いないが、相手をねじ伏せるスケールは物足りない馬だけに、今回は仕方のない敗戦だろう。
こういう中山の平均ペース(今回の1000m通過は59.7秒)でフルにスピード能力発揮と思われたコンゴウリキシオーは、まったく無理のないマイペースで自分の形に持ち込めたのだが、カンパニーに接近されたところでもうストライドが乱れ、コーナーで上手く手前が変わらなかった。入念な乗り込みで立て直しに成功したと思えたが、安田記念を2着した昨春の状態に戻っていなかった。ちょっと不器用なのでコーナーの多いコースは不得手なのだろうか。
マルカシェンクは、あっさりアサカディフィートに差し切られてしまった小倉大賞典とまったく同じで、楽に追走していながら最後に追い出すと案外の脚いろになってしまう。1800mが長いとも思えないが、再三の故障ブランクがあってようやく立ち直った素質馬。スタミナうんぬんではなく現在は1400m〜1600mの方がいいのかもしれないと思えた。
チョウサンの好馬体は光った。休み明けの中山1800mとあってまったくいいところなしに終わったが、のびのび走れる東京向きだろう。