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2度目来日馬の傾向

  • 2008年06月02日(月) 23時50分
 今年の安田記念、香港からは3頭の遠征馬が来ることになった。

 戦績やレーティングを見ても分かるように、3頭それぞれにかなり実績のある馬たちだ。ブリッシュラックはさすがに歳をとった感があるが、それでもまだまだ元気である。

 ただ、この3頭のうち2頭は、ひとつの傾向と戦わなければならない。

 その傾向とは、「2回以上来日した馬は、初回来日時のパフォーマンスが最良であることが多い」である。

 最初に断っておくと、ブリッシュラックは既に一度この傾向を覆している。05年の安田記念で4着→06年1着であった。

 ただ、これが珍しい事例であるうえ、ブリッシュラックは9歳である。また、グッドババは新たにこの傾向に挑むことになる。

 これまで、日本で2走以上して、そのうち1回以上馬券に絡んだカク外馬(平地のみ)は、全部で21頭いる。ただ、例えば京成杯SC→安田記念のように一度の来日で2走以上した馬もいるので、それを除くと14頭となる。

 そのうち、インディジェナス、オリエンタルエクスプレス、ケープオブグッドホープ、ザイーテン、サラファン、ジョイフルウィナー、ナチュラリズム、フェアリーキングプローンの8頭は、はっきりと2回目(馬によっては3回目も)の来日時に成績が落ちている。

 ハートレイクは2回の来日がいずれも1勝1敗だが、大目標の安田記念を取りこぼしているだけに、2回目のほうが良いとは言えない。アヌスミラビリスは、2回目の来日でも鳴尾記念で3着しているが、初回が毎日王冠1着だから若干のトーンダウン。サイレントウィットネスは安田記念3着→スプリンターズS・1着→翌年のスプリンターズS・4着で最後は下がっている。

 純粋に2回目で良くなったのはブリッシュラック、ウィジャボード、エルナンドだが、後の2頭は2回目も3着だからだいぶ地味。全体としてはリスク面のほうが目立つ。

 今年のグッドババは臨戦過程としては昨年より遥かにいいのだが、この「傾向」に勝てるかどうかがポイントだろう。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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