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宝塚記念は世界へのステップ

  • 2012年06月21日(木) 18時00分
 宝塚記念はファン投票で出走馬が選ばれるグランプリレース。今年も、ファンのみなさんが「これは」と選んだ馬たちが参戦します。

 まず、ファン投票堂々の第1位となったオルフェーヴル。前走の天皇賞・春のあとはノーザンファームしがらきで立て直しを図りました。

 栗東に帰厩してすぐは「やや馬体が寂しい感じがした」そうですが、乗り込んでいくうちに徐々に馬体がしっかりしてきたとのこと。やはり、「時計を気にせず、馬体の仕上がりと気性面のこと」を考えたという陣営の調整が功を奏したんでしょうね。

 最終追い切りは、坂路でエアラフォンと併せ。馬体が合った瞬間に池添騎手が軽く気合いを付けるとサッと反応。追いすがる相手を尻目に、2馬身差をつけてゴールしました。タイムは52.5-12.5秒で、動きも軽快。

 池添騎手は「元気のよさが戻って来た」と好感触を得た模様で、「コースも距離もキャリアも十分ある。折り合いが一番大事なので、それを頭に入れて乗りたい」と話していました。

 池江先生は「少し右にモタれたが、馬場が悪いなか最後はグッと力強い走りをしてくれました。7割がたデキた状態。今年は強いメンバーですが、闘争心も出てきました」と満足そう。

 レースに関しては「ここ2戦は、お見苦しいレースを見せてしまいました。今回はファンのみなさんに1位に選んでもらっての出走なので、期待に応えたいですね。枠は…大外は勘弁してほしいです(苦笑)」とのこと。

期待度◎トゥザグローリー

期待度◎トゥザグローリー

 また、池江厩舎からはほか2頭も出走予定です。

 まずトゥザグローリーですが「500キロを越す大型馬なので、使っての上積みは大きいと思います。折り合いが付くようになってきました。また、骨格にボリュームが出てきて夏バテの傾向もなく、順調にきました。右回りの坂があるコースは得意なので、チャンスはあるでしょう」(池江師)。鳴尾記念を勝って、駒を進めてきただけに勢い十分。期待度◎の1頭です。

 そして、3歳馬のマウントシャスタも出走。池江先生は「ダービーに出走できなかった分、ここでいい競馬をしたい」と気合いを入れています。ライバルが同じ厩舎のGI馬という状況ですが、能力はある馬なので楽しみですね。

 前走、香港のクイーンエリザベス2世Cで世界制覇を果たしたルーラーシップ。本当に強い競馬でしたよね。レースを見ていたんですが、内々でエネルギーを貯め、どこで馬群をさばくかをワクワクしました。

 角居先生も「広い馬場がいいと思っていましたが、器用な馬で小回りな競馬場も上手くさばいていました。飛びが大きく、外を回ってくるようなイメージで走っていましたね」と前走を振り返ります。

ルーラーシップ勝って再び世界へ!

ルーラーシップ勝って再び世界へ!

 さて前走後ですが、競馬学校からノーザンファームしがらきに移動し、そこで徐々に乗り込みをしてきました。

「馬体重500キロという馬ですが、蹄が小さいため、これまでは必要以上の負荷がかかって調整に悩まされてきました。でも最近は馬体が成長し、動きが器用なことが加わって、安定した走りができるようになってきました」(角居師)

 なるほど、それが香港での強い競馬につながったんですね。

 水曜の追い切りは芝コースでの3頭併せ。内トーセンケイトゥー、外リベルタスを追走し、軽く気合いを付けただけで最後は半馬身ほど先着しました。タイムは61.5-12.2と秀逸。また、追い切り後の運動では、長い脚をスッスッと出すリズミカルな歩様を見せていました。

 で、厩舎へお邪魔…するとルーラーシップは馬房に入ったとたんにゴロゴロと寝転び、起き上がるとご機嫌でバケツの水をゴクゴク。表情は追い切りのときの引き締まったものではなく、ノンビリモードになってまったくの自然体です。スタッフもルーラーの気分に合わせ、過ごしやすいように配慮しているようでした。

 先生はレースに関して「肩ムチだけでパッと動き、乗り手の指示を素直に聞く馬です。ですから、枠も道悪も関係ありません」と自信ありの模様。強いて言えば、ゲートを嫌うので、出遅れに気をつけたいとのことでした。

 今回ルーラーシップの手綱を取るのは、ウィリアムズ騎手。先週、妹のグルヴェイグをマーメイドS優勝に導いた腕で、2週に渡る兄妹重賞制覇を目指します。あっ、そうそう。ウィリアムズ騎手は先週の追い切りに乗っており、「スゴイウマ!」と絶賛していたそうですよ。

 ここを勝てば凱旋門賞も視界に入ってくる大事な一戦。世界レベルの走りを見せてほしいですね。

ショウナンマイティ馬体に幅

ショウナンマイティ馬体に幅

 ここらで、ひとつ大きなタイトルがほしいショウナンマイティ。梅田厩舎に元騎手の西原嬢を訪ねました。

 この馬を見てきた西原助手によると「トモが立派で、すごい力を持っている馬です。それが出し切れず、悔しい競馬がつづきました。やっと、精神面に落ち着きが出て、折り合いが付くようになりましたね。それに、前走の後は飼い葉をペロリと平らげるなど、食欲もあります。やっぱり、食べないと力は出ないですよね。おかげで、馬体に幅が出てきました」とのことでした。

 追い切りは、ほとんど馬なりで行われ、坂路53.0-12.1秒といい時計。梅田先生は「強い馬と脚色が似ているからね…、どこでゴーサインを出すか、浜中の手腕に期待しているよ」とのことでした。

 心配していた台風もなんとか去りました。できれば、良馬場でのレースがみたいですね。

 さて、「トレセンであい馬show!」は、今回で最終回。長い間ご愛読いただき、ありがとうございました。7月からは新コーナーが始まりますので、そちらも変わらず、よろしくお願いします。

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1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

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