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ヨーロッパのフレッシュマンサイヤーランキングを検証

  • 2018年09月19日(水) 12時00分


◆現段階でノーネイネヴァーが首位の座にあるのは大方の予想通り

 先週お届けしたアメリカ編に引き続き、今週はフレッシュマンサイヤーランキング検証のヨーロッパ編をお届けしたい。

 9月16日の競馬を言えた段階で、イギリスとアイルランドの数字を合算したフレッシュマンサイヤーランキングで首位の座にあるのは、クールモアスタッドで供用されているノーネイネヴァー(その父スキットダディ)である。

 8月2日にグッドウッドで行われたG2リッチモンドS(芝6F)を制したランドフォース(牡2)、9月1日にカラで行われたG3ラウンドタワーS(芝6F)を制したテンソヴリンズ(牡2)と、既に2頭の重賞勝ち馬が出現。産駒がここまでに獲得した総賞金(ポンド換算)の54万2321ポンドは、第2位につけているチャームスピリットの倍以上で、まさに独り勝ち状態となっているが、これは筆者も含めて、大方が予想をしていた通りの結果と言えよう。

 ノーネイネヴァーについては、今年5月23日付けの当コラムで一度取り上げているので、ぜひご参照いただきたい。

 重複を承知で記せば、デビューが2歳の4月で、いきなり3連勝で仏国のG1モルニー賞(芝1200m)を制したのがノーネイネヴァーである。2015年に、2万ユーロ(当時のレートで約270万円)という種付け料を設定されて種牡馬入り。昨年の1歳市場では、58頭の初年度産駒が平均10万8385ギニー(約1673万円)と、種付け料の6倍以上の価格で購買され、マーケットでも上々の評価を受けていた。

 ここまでデビューした34頭のうち、17頭が勝ち上がって、勝ち上がり率50%という抜群の数字をマーク。なおかつ重賞勝ち馬も出て、このうちの1頭のテンソヴリンズは、来年の二千ギニーへ向けた前売りで、オッズ8〜9倍の2〜3番人気に支持されている逸材だ。

 成長力、距離延長への対応など、まだまだ課題は多いが、ノーネイネヴァーが次世代を背負う期待の若手種牡馬であることは間違いなさそうである。

 ランキング第2位に付けているのが、チャームスピリット(その父インヴィンシブルスピリット)だ。仏国のフレディー・ヘッドが管理し、3歳時にG1ジャンプラ賞、G1ムーランドロンシャン賞、G1クイーンエリザベス2世Sと、3つのマイルG1を制している。

 2015年に英国のトゥイーンヒルズ・スタッドで種牡馬入りし、翌年には仏国のボナヴァル牧場に移動。17年に再びトゥイーンヒルズに戻った後、18年はボネヴァルと、英仏の間を1年ごとに行き来しながら種牡馬生活を送っている。この間、種付け料は、2万5千ポンド(約458万円)→2万7千ユーロ(約338万円)→2万ポンド(約280万円)→2万ユーロ(約264万円)と変遷している。

 17年の1歳市場では、53頭の初年度が平均6万2121ギニー(約959万円)で購買されている。すなわち、初年度の種付け料の2倍以上の価格で購買されているゆえ、決して悪い評価ではなかったのだが、前出のノーネイネヴァー、あるいは同期の新種牡馬のキングマン(平均価格22万8557ギニー)、オーストラリア(平均価格13万4719ギニー)らと比較すると、かなり評価が下だったのがチャームスピリットの初年度産駒だった。

 だが、7月12日にニューマーケットで行われたG2ジュライS(芝7F)で、チャーミングキッド(牡2)が3着に好走。そして9月6日には、ソールズバリーで行われたG3ディックプールフィリーズS(芝6F)をユアタイムイズナウ(牝2)が制し、父にとっての重賞勝ち馬第1号となるなど、産駒は上々の動きを見せ始めている。今後は、1歳市場でもマークが必要な種牡馬となりそうだ。 

 さて、昨年の1歳市場で産駒が極上の評価を受け、そして実際に、ロイヤルアスコットのG2コヴェントリーS(芝6F)勝ち馬カリークス(牡2)が出現し、センセーショナルな話題を呼んだキングマン(その父インヴィンシブルスピリット)は、フレッシュマンサイヤーランキングでは現段階で第3位に甘んじている。

 カリークス以降も、7月26日にサンダウンでLRスターS(芝7F)を制したルックアラウンド(牝2)、9月14日にドンカスターで行われたLRフライングスポーツマンS(芝7F)を制し、デビューから2連勝を飾ったサングリアス(牡2)らが登場。仏国でも、8月18日にドーヴィルで行われたG3カルヴァドス賞(芝1400m)で3着となったシシリア(牝2)が現れ、そして日本でも、ヨークテソーロ(牝2)、ダノンジャスティス(牡2)と、2頭の新馬勝ちが出ているのだが、英国と愛国における勝ち馬は7頭に留まっている。

 キングマン自身、2歳時から重賞を制していたものの、自慢の末脚に磨きがかかったのは3歳春以降で、産駒の大攻勢が見られるのも、来春になるのかもしれない。2015年に欧州で種牡馬入りしたもう1頭の超大物が、英愛ダービーに加えてG1インターナショナルS(芝10F56y)を制したオーストラリア(その父ガリレオ)だった。

 英愛のフレッシュマンサイヤーランキングでは、現在第6位のオーストラリアだが、実は、ゴドルフィンが所有しC・アップルビーが管理するビヨンドリーズン(牝2)が、仏国ドーヴィルのG3シックスパーフェクションズ賞(芝1400m)、同じく仏国ドーヴィルのG2カルヴァドス賞(芝1400m)を連勝中で、オークスへ向けた前売りで1番人気(オッズ17〜26倍)に推されている。オーストラリアもまた、今後も1歳セールでおおいに注目すべき種牡馬と言えそうである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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