オルフェーヴルの回避により、
ゴールドシップ、
フェノーメノ、
ジェンティルドンナの4歳3強対決に様相が変化した
宝塚記念。3頭の中で最も注目する馬は? 騎手、調教師、厩舎関係者など、トレセン関係者に緊急
アンケート。(取材・写真:馬サブロー松永篤)
●
角田晃一調教師
ノースフライト、
フジキセキ、
ジャングルポケットなど名馬の主戦騎手として活躍。
宝塚記念は2003年の
ヒシミラクルで優勝。現在は栗東で調教師。
『ステイヤーでも乗り方次第でチャンスがある』
「今年は4歳の3頭がどれもハイレベル。ジョッキーたちの駆け引きや、ペースによっては着順も変わってくるでしょう。僕自身、
宝塚記念は
ヒシミラクルで勝たせてもらうことができました。あの時の
ヒシミラクルは、正直なところ出来に関しては
天皇賞(春)の方が良かったのですが、競馬を勝ってきたことで馬に勢いがありました。
レースでは“1コーナーまでに中団の外に出せるか”だけに集中していました。
ヒシミラクルはエンジンの掛かりが遅いタイプで、早めに動けるポジションを取りたいと思っていました。そこがうまくいったことは結果につながったと思います。脚質的に
ゴールドシップは
ヒシミラクルと似ていますね。本質的にステイヤーの馬でも乗り方次第では
宝塚記念を勝つことは可能だと思います」
●
渡辺薫彦調教助手
元
JRA騎手。
ナリタトップロードとのコンビで
菊花賞を制すなど、大舞台でも活躍。現在は栗東、沖厩舎の調教助手。
『内田さんの意気込みが伝わってくる』
「3頭から1頭を選ぶのは難しいですが、その中では
ゴールドシップでしょうか。
天皇賞(春)は圧倒的な人気を背負う立場でしたが、今回はそうではないので競馬はしやすくなると思います。そして一番には、内田さんが普段の稽古や運動などに付きっきりで跨るなどして、このレースに向けてかなり力が入っているところ。意気込みや気迫が伝わってきます。
今年の
宝塚記念は同世代3強の様相。僕も騎手を辞めてからは違った見方で競馬を見られるようになりましたし、今回のようなレースは楽しみです。僕自身も
ナリタトップロードで
菊花賞を勝ったときは、1番人気に推されながら敗れたダービーの悔しい経験が糧になったと思いますし、
ゴールドシップと内田さんも今回なにかやってくれるのではという気がします」
●西原玲奈調教助手
元
JRA女性ジョッキーとして活躍。現在は栗東、梅田智厩舎の調教助手。
『
ジェンティルドンナは“牝馬”らしくない』
「昨年の
宝塚記念、ウチの厩舎は
ショウナンマイティで“打倒
オルフェーヴル”を掲げて挑戦。結果は3着でしたが、
オルフェーヴルとは大きな差をつけられて完敗でした。
凱旋門賞の走りといい、
阪神大賞典で逸走してから追い上げる姿といい、
ディープインパクトよりも凄いんじゃないか…と思ったほどです。今年も
オルフェーヴルが出てくれば抜けた存在だったと思いますが、不在なら3頭ともにチャンスがあるのではないでしょうか。
その中では…
ジェンティルドンナですかね。昨年の
ジャパンカップでは
オルフェーヴルをはじき飛ばすほどでしたし、“牝馬らしくない”というイメージです。その時の
ジャパンカップでは差があった
フェノーメノも、ここにきての成長力で逆転できるかもしれません。
ゴールドシップは本当に強い相手と戦っていないあたりに差が出ているのかなと…。それでも荒削りですが地力があるのは確かですし、その時のあらゆる条件次第でレースの結果も変わってくると思います」
●大久保雅念(まさとし)調教助手
大久保正陽厩舎の調教助手として
ナリタブライアン、
メジロパーマー、
ナリタタイシン、
シルクジャスティスなど数々の名馬の活躍に携わる。
宝塚記念は
メジロパーマーで優勝を経験。現在は栗東、北出厩舎の調教助手。
『大一番で強さを発揮する“個性派”』
「今年の
宝塚記念。どれが一番強いのかとなると難しいけど、ひとつ挙げるのならば
ゴールドシップかな。個人的に昔から、個性的な馬が好きでね。自分が過去に関わった中では、
ナリタブライアンは“何でもできる”って感じの馬だったけど、
メジロパーマーは個性派と言える感じ。
極端な競馬
スタイルの馬は時として諸刃の剣になるのだけど、ここぞの大一番で勝ち切ることができる、って事をパーマーで2度(
宝塚記念、
有馬記念)経験させてもらった。
メジロパーマーと
ゴールドシップ。脚質こそ正反対だけど、そのイメージはどこか重なるかな。
ジェンティルドンナともども関西馬に頑張ってもらいたい気持ちはあるし、盛り上がるレースをしてほしいね」