こんにちは。古澤秀和です。今週から、私の馬見術に触れていきたいと思いますが、今までの馬見予想、要するにデキとか気配のみに頼った馬の見方とは一線を画するために、私の馬見予想法を「UMAMI」と呼びたいと思います。柔道とJUDOみたいなものですね(笑)。
まず、私のUMAMIは2つの場所で行います。一つはパドック。一般的にはこれが馬見の全てと言って良いでしょう。しかし、馬を見る者に与えられた材料はこれだけではありません。もう一つの重要な馬見の場所は返し馬です。返し馬というのは本馬場への入場行進だと思っている方が多いのではないでしょうか。実は返し馬はパドックに匹敵するぐらい重要なファクターなのです。返し馬で分かることについては後ほど触れるとして、基本的に私のUMAMIはこれらパドック→返し馬の繰り返しで構成されています。
では、それぞれで得ることができる情報について下記の通り挙げておきます。私の1Rでの作業の流れで書いておきますので、イメージしながら見て頂ければと思います。
◆パドック
【脚元の状態】
まず最前列に陣取り、馬の脚元の状態をチェックします。競走馬は経済動物であり、ソエや骨瘤、裂蹄などの症状が出ていても、レースに出走せざるを得ない場合があります。これは人気薄のものも多いですが、1番人気などの上位人気に支持されている馬についてもよく見かけられます。これらの脚部不安のほとんどはパドックで視覚的に知る事ができます。特にこれは脚元のまだ固まっていない若駒のレースで注目すべき項目ですが、古馬の、それもGIレースでもたまに脚部不安のある馬が出走していますので、基本的にチェックするようにしましょう。断然人気の馬が全く見せ場なく敗れる時は、時々このような脚部不安に起因することもあるのです。
【馬具】
ハミやシャドーロール、チークピーシーズの着用や、それらが馬に対してどのような影響を及ぼしているかについてチェックします。
【蹄・ツナギ】
同じく最前列でチェックする項目です。蹄については基本的に形状をチェックします。主に見る点は蹄の角度と大きさ。角度が30度くらいのベタ蹄の馬は基本的に芝のレースに向いています。逆に角度が80度近くもあるような立ち蹄の馬はダートに適性があります。他にもこれをチェックすることで道悪に対する適性を読むことができたりもします。
次に「ツナギ」ですが、これは私のUMAMIの核とも言える項目で、調教師や馬喰さんなど、幼駒を見る人たちもこれを重視しています。これを見ることで、馬の適性(芝・ダート、距離、競馬場など)のうちの8割以上を知ることができ、更に能力についてもある程度把握することができます。ツナギでチェックすべき項目は主に角度、弾力性、長さ、太さですね。ツナギが長くて角度がやや深く、弾力性があって細いと、その馬はほぼ確実に芝の長距離をこなせます。
【体型】
次はパドックを一段上がって、体型についてチェックをします。体型を見る際には様々な部分があるのですが、私の場合は脚の長さ、飛節の角度、骨の量、筋肉の量といった項目を重視しています。これらを見ることで、ツナギで得た情報に加えて更に馬の適性を高いレベルで知ることができるのです。
【筋肉】
筋肉については量と発達している箇所、質感を見ます。
【デキ】
デキ(仕上がり)については筋肉の張りと皮膚の薄さをバロメーターにしています。また、イレ込みや集中力といった気配的なものもチェックをします。
【全体的な気配】
パドックの3段目ぐらいに上がって、全体の気配やデキを再確認します。
こういった流れでパドックでチェックして、その後はスタンドに移動して返し馬を見ます。
◆返し馬
返し馬は、競馬場によっても異なりますが、キャンターに入ってから100mぐらいの位置の3階くらいからチェックするのが理想的です。あまり下で見過ぎると、全体的な気配を察知しにくく、間違った判断を下しがちになりますので、やや上の方から見ると良いと思います。また、返し馬は一気に数頭が駆け抜けるので、上の方から見た方がより多くの馬をチェックすることができるでしょう。
返し馬では、騎手との折り合い(口向き)、後肢の蹴りの強さ、全体のフォームをチェックします。距離によっても異なりますが、鞍上のアクションに対しての馬の動きを意識しながら見れば良いと思います。
これらをチェックすることで、馬と騎手との相性や、レースでの折り合い、能力的なものまで知る事ができます。
以上が、私のUMAMIの大きな流れです。ここまで見るから、馬を見るだけで複勝で1000円を超えるような馬に本命を打つことができますし、高配当の馬券を1〜5点以内で的中させることもできるわけです。
次回からはこれらの細部を、「適性」的なものを中心に見ていきましょう。
【次走の激走候補】
メジロアリス(古馬500万下3着)
今回は今までの芝路線から矛先を変えて、ダートの1400m戦に出走。トモにしっかりと筋肉が付いていて、柔らかみもあります。これはそこそこ走る馬ですね。今回の好結果はダートに変わったということが原因ではなく、単純にデキが良くなってきたということだと思います。芝・ダートはそれ程問いませんが、距離は1200mがベストだと思います。
サイキックダイブ(古馬500万下6着)
今回は約3ヶ月ぶりの休み明けでの出走。それだけに腹回りに余裕があったし、返し馬の動きも良いときに比べるとやや重かった。それだけにいつもより行きっぷりが悪かったし、直線でも伸びそうで伸び切れなかった。叩いた次走は絞れてくるだろうし、そうなればこのクラスでは常に勝ち負けできる力を持っている馬だ。
アドマイヤメイン(朝日CC6着)
良い時のボリューム感が戻ってきたし、レースでも控える形となったがそれなりに伸びていた。休み明けだけに、ここを叩いて更にボリューム感が出てくれば、復活を期待できるだろう。今回は控える形だったが、本来はハナを切って飛ばしていく馬。ダービーまで連勝を重ねたあの逃げ脚が復活すれば、一線級との勝負も可能だ。
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