一日一日は、何ひとつ間違うことなく、確実に過ぎていく。競馬の一日も、同じだ。さらに言えば、レースも。ならば、一日一日が最高の日であったらと願いたい。これはいずれの立場にあっても同じだ。
しかし、これでは日々是好日にはならないような気がする。にちにちこれこうにち、これをもっと力強いことばとして受け止められないだろうか。ただ、いいことがあった日だけでは頼りない。さらに言えば、素晴らしいことを願望するだけでは、あの競馬の朝の気分とちっとも変わらないし、それがどういうことかは分かり切っている。
いいことがあろうとなかろうと、そのままそれを受け入れる。ゆったり大きく構えられないだろうか。
いずれ人間は欲張りだから、あるていどの修業を経ないとそんな心境にはならないのだが、とり合えずは、それに気づくことでいいだろう。そこから先を見るようにすれば、そのうちに日々是好日になっていくのではないか。何があってもよし、何が起きてもよし、どんなことにも向き合っていけばよい。晴れてよし、曇りてもよし、もともとの姿は変わってはいないのだという心境、これはとても大きく、強いではないか。
競馬と対面するとき、それだけではない周囲の状況に動かされることが多い。それでも自分は自分なのだという思いは、最初のうちはあるのだが。いいことはないかと願う心が強くなるほどに、段々に自分を失っていく。何ものにも動かされない不動の山にはなれないものか。レースだって、自分に徹し切れた人馬の方がいい結果を生んでいる。
どんな事態になろうとも、不動の精神で、何があってもよしとその心境に踏み込んでいけるように、日々是好日を唱え、念じて生きたいと、やはり、あるがままを受けとめるところに辿り着く。果たしてそんな風になれるものなのか、ちょっと気分をそっちに。
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