今回からは具体的に馬の「適性」について見ていきましょう。適性と一口に言っても、その種類には色々なものがあります。芝・ダートの適性、距離適性などが主ですが、細分化していくと芝・ダートでも荒れた芝や脚抜きの良いダートなど、様々な条件があります。
厩舎サイドは主に血統から適性を推測して、ローテーションを組んでいるのですが、実際にレースに出走している馬たちを見ると、必ずしも適性の高い条件に使われているとは限りません。むしろ、適性のない条件に使われている事が非常に多いです。
例えば、昨年の菊花賞馬アサクサキングス。あの馬が、皐月賞が終わった時点でどういう評価をされていたかご存知でしょうか。「マイラー」です。これは皐月賞の負け方がそう思わせたのでしょう。
実際、皐月賞の次戦にはNHKマイルCを使われました。しかし、私の意見は全く逆で、皐月賞のパドックを歩いている馬たちを見て、アサクサキングスしか、現状で府中の2400mをこなせる馬がいないというものでした。この判断ができたのは、繋(ツナギ)をしっかりと見ていたからです。
☆ツナギを極めれば競走馬の適性が手に取るように分かる!
ツナギというのは馬の蹄と球節の間の部分を指します(写真参照)。例えば距離適性は通常の場合、胴の長さで見る人が多いでしょうが、実際はツナギを見た方が良く分かります(もちろん胴の長さも重要なファクターですが)。
例えば、先述のアサクサキングスの場合は、長くて角度が深く(寝ている)、更に柔らかさもあるツナギを持っています。ツナギが長いということはそれだけ一動作が大きいということですし、柔らかくて角度が深いということはそれだけ稼動域が大きいということです。つまり、必然的にストライドが大きくなり、無理なく長い距離を走ることができるわけです。この原理を把握しておけば、アサクサキングスが皐月賞とNHKマイルカップで惨敗した後でも、府中の2400mで行われるダービーで重い印を打つことができるのです。
では、今回はこの「ツナギ」のチェックすべきポイントを挙げておきましょう。馬券への活用については、例えば短距離で惨敗していた馬が中距離以上のレースに出走してきたとか、芝で惨敗していた馬が今回ダートに使ってきた、といった「条件替わり」の馬を中心に観察していけばいい馬券に巡り会えると思います。
【ツナギの長さ】
主に距離適性に影響が出ます。短ければ短距離向き、長ければ長距離向きです。
【ツナギの角度】
主に馬場適性への影響が出ます。立っていれば(立ちツナギ)良馬場のダートや芝の荒れ馬場・道悪、寝ていれば(ベタツナギ)芝の良馬場や脚抜きの良いダートなどに高い適性を示します。あと、角度が立っていた方がすぐに力を伝えることができるので、ゲートが速い傾向があります。
【ツナギの柔軟性(稼動域)】
距離適性・馬場適性のどちらにも大きな影響があります。柔らかければ長い距離もこなせますし、硬ければあまり距離の融通がありません。馬場適性については、柔らかければ芝(軽い馬場)、硬ければダート(重い馬場)に適性があります。
【ツナギの太さ】
特に馬場状態に影響を及ぼします。芝の良馬場など、時計の速い、軽い馬場については、細くて軽い方が速く脚を振ることができるので、ツナギが細い方が有利になります。逆にダートの良馬場などの時計の掛かる馬場状態においては、ある程度太さがあった方がパワーがあるので有利です。
以上が、ツナギを見る時の主なポイントです。今の開催は阪神・中山・札幌ですが、下記のポイントに気を付けてツナギを見ていけば、他の人に獲れないおいしい馬券をゲットすることができると思いますので、是非今週から実践してみて下さい。
【阪神競馬場のポイント】
・芝:レコードが連発しているように、野芝で時計が早いので、細くて柔らかいツナギの馬が有利になります。
・ダート:ダートらしい、力の要る馬場状態なので、太くて立ち気味のツナギが有利になります。
【中山競馬場のポイント】
・芝:野芝で時計が早いので、細くて柔らかいツナギの馬が有利になります。
・ダート:ダートらしい、力の要る馬場状態なので、太くて立ち気味のツナギが有利になります。
【札幌競馬場のポイント】
・芝:洋芝である程度のパワーを要求されるので、細くて柔らか過ぎると力負けします。標準的な太さ、柔軟性のツナギが有利でしょう。
・ダート:ダートらしい、力の要る馬場状態なので、太くて立ち気味のツナギが有利になります。
【ツナギの例】
・細く短く立ったツナギ
時計が早い短距離のダート、芝の短距離に適性があります。
・やや太く長くて寝たツナギ
2000m前後に高い適性があります。
【次走の激走馬】
エイシンテンライ (古馬500万下10着)
今回は阪神外回りの1800mのレースに出走。馬体が絞れてきたし、返し馬の動きも抜群だったが、レースでは出入りの激しい、先行馬にとってきつい流れとなり10着と惨敗を喫した。腰に甘いところがあるので、直線が平坦なコースの方が合っている。京都の2000mなどの条件で狙いたい。
パナマックス (古馬500万下5着)
今回は休み明けでダート1400mのレースに出走。28キロも馬体重が増えていたが、このほとんどは成長分だろう。休養前に比べてグンと体を大きく見せていた。元々、もっと走れても良い馬だし、この一叩きで更に良くなってくるはず。条件的にはダートの1200〜1400mあたりがベストで、近々このクラスは勝ち上がれそうだ。
ジャドール (新涼特別3着)
条件はダートの1400m。好位の内側で追走し、いい手応えで運んでいたのだが、直線に入って周りを囲まれて動けない大きな不利。敗因はあれが全てだ。馬体はこのクラスでは上位のものだし、すぐに勝ち上がれるだろう。硬いところがあるので、条件は良馬場のダートがベスト。
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