自分らしく競馬の世界に当てはめてみるのも面白い。自分らしく生きるとは、多くも願っていること。しかし、どういうことか深く考えることはしない。なかなか見えてこないからだ。

　ところが競馬となると、いくつかはっきりしてくる。自分らしくをその馬らしくに置き換えると、手掛かりがつかめ、そこから考えることがふくらんでくる。そこがファン心理というもので、そのエネルギーを他に向けられたらと思うのだが、それが自分の世界で自分らしくというのだろう。

　その馬のことだが、よくレースの後に、この馬のリズムで走らせることができたといった類の話が聞かれる。これこそ、その馬らしさということだろう。突き詰めていくと深みにはまってしまうが、おおよそどんな風かは理解できる。その馬のリズム、これは他を意識しすぎると崩れそうだ。ということは、結果にこだわると駄目だということになる。

　では、その意識はどこから発生するかになるが、一方的に馬自体のことでもなさそうだ。最後の最後のところでは、その馬の持っている闘争心が問題になるだろうが、クライマックスを迎えるまでのところは、人馬の呼吸が第一。その馬らしさの源は、そこにあるとは容易に想像がつく。

　もうひとつ、その馬の世界だが、これは駆ける距離、競馬場のコース、或いは馬場コンディションといったものになるだろう。特に距離に関しては、持って生まれた素質、受け継いだ血脈によるところが大きい。もしかしたら、それを超えることはできないだろう。

　こう考えると、競馬の世界の自分らしさがはっきりしてくる。それを追求するのがレースであるならば、どれだけその馬を知るかが全てということに尽きる。なんだそんなことかという気もするが、改めて意識することで確実に前に進めるとは思えないだろうか。その先の、自分のことまで行けるといいが。

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