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骨格と筋肉でこれだけ適性が分かる!

  • 2008年09月29日(月) 17時20分
 前回は一般的なパドック本などで語られていない繋(ツナギ)について、太さ・長さ・柔軟性・角度といった項目に分類して説明をしました。ツナギを見るだけでも、馬の条件に対する適性がかなり分かるのですが、より正確に適性を把握するために違う部分も見ていきましょう。

 今回紹介するのは、骨格と筋肉についてです。ここで見ていくことは、骨格については主にその量。筋肉については量と質についてです。

【骨格】
 骨の量については、ツナギを見ても分かるのですが、もっと分かりやすいのは脚や飛節(※写真参照)の太さを見れば分かりやすいと思います。これらの部分が太ければ、全体的な骨格もゴツくてパワータイプになります。逆に細いと造りが軽いので、芝の良馬場や、脚抜きの良いダートで活躍する傾向にあります。

※写真参照
 左は脚が「太い」、右は脚が「細い」馬
脚のサンプル

 先週の神戸新聞杯出走馬で言うと、骨の細い馬はオウケンブルースリ、太い馬はブラックシェルを見れば分かりやすいかと思います(週刊専門誌のフォトパドックなどをご参考下さい)。

【筋肉】
 筋肉は量と質を見ます。量は、そのままですが正に筋肉の量を見ます。量が多いとパワータイプになる傾向が強いです。良馬場のダートや、荒れて時計が掛かる芝、短めの距離で活躍するでしょう。逆に 量が少ないと、芝の良馬場や脚抜きの良いダートなどの軽い馬場、あとエネルギー効率が良いので長めの距離で活躍することが多いです。

 これも神戸新聞杯出走馬のオウケンブルースリブラックシェルを見れば前者で筋肉量の少ない馬、後者で筋肉量の多い馬が分かると思います。

 次に質ですが、これは細分化すると硬さや伸縮の早さなど様々な項目に分かれます。これらを全部網羅しようとすると難しいので、硬さと伸縮の早さに絞って見ていきたいと思います。

【硬さ】
 これはツナギの柔軟性とかなり相関性がありますが、主にパドックでの歩幅の大きさを見れば良いでしょう。大きければ柔らかい、小さければ硬いと判断しても良いでしょう。ただ、できれば柔らかい・硬いというのは筋肉を見た感じで分かればベストです。

 柔らかい筋肉を持っていると、トップスピードが高くなります。ただ、それに伸縮が伴っていないと加速が遅くて間に合わないタイプの馬になるので、後述する伸縮とセットで見るようにした方が良いでしょう。逆に硬いと、ストライドが伸びないのでトップスピードはあまり出ません。基本的にダートで活躍することが多いでしょう。また、ストライドが伸びないということは距離もあまり長いところまでは保ちません。

 先週の神戸新聞杯で言うと、柔らかい筋肉はヤマニンキングリーを、硬い方は芝のレースなのであまり見当たりませんが、強いて言えばメイショウクオリアブラックシェルを見ると分かるかと思います。

 余談ですが、ブラックシェルはこれらの観点や、先週のツナギに関する解説、また父クロフネという血統背景からもダート路線に行けば凄い馬になると思います。

【伸縮の早さ】
 次に伸縮の早さですが、これも本来は見ただけで分かるとベストです。ただ、最初からそれは難しいと思いますので、最初のうちは歩く時の後肢の引き付けの速さを見ましょう。早く引き付けられていれば伸縮が早く、瞬発力勝負に強い傾向にあります。逆に引き付けが遅いと、瞬発力勝負では分が悪く、持久力勝負に強い傾向にあります。

 伸縮が早い馬はディープスカイ、遅い馬はメイショウクオリアを参考にすれば良いでしょう。

 以上が、骨格・筋肉の質から馬の適性を見抜くポイントです。今週はスプリンターズステークスが行われます。このレースで活躍するタイプは、短距離の最高峰を決めるレースだけに量が多くて(特にトモの)、伸縮が早い筋肉を持った馬です。

 どの馬がこの条件に該当するのか。競馬週刊誌の写真や、パドックでの姿を参考に探してみて下さい。


【次走の激走馬】
ファイナルコート (古馬500万下1着)
 前走の小倉で未勝利を卒業して、今回が昇級戦。しかし、そんなことは関係ないほど馬っぷりの良さを見せつけ、レースでも楽勝して見せた。マンハッタンカフェ産駒にしては柔らかいし、成長力もありそう。初戦は芝で敗れているが、あれは良化する前の話であって、本来は問題なくこなせる。昇級しても、芝に条件が変わっても十分に戦える馬だ。将来的にはオープンまで上がるだろう。

ベンチャーナイン (神戸新聞杯4着)
 今回は休み明けで神戸新聞杯に出走。直線は途中で前が開かずに追えなかったが、それでも4着まで差してきた。地力はかなり高い。曲飛節の馬で腰の角度も甘めなので、坂のあるコースよりも平坦コースの方が合っているタイプ。京都の下り坂は合っていそうだし、道中は折り合いに専念して、そこで加速をつけて捲ってくるような競馬をすれば戴冠のチャンスは十分にある。

エメラルドミスト (古馬500万下11着)
 今回の敗因は色々とある。一つは早めに動いていったこと。後肢の関節の稼動域が狭く、それ程ストライドのある馬ではないので、あれではゴールまで保たない。もう一つは本質的に距離が長いこと。脚が短くて関節の稼動域が狭く、更に牝馬にしては筋肉量も多い方なので距離はマイルがベスト。あと一つ。腰に甘さがあるので坂が合っていなさそう。これらの観点から見ると、次走で京都のマイル戦辺りに出走すれば変わり身を見せそうだ。


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中央競馬で全レースのパドック・返し馬を徹底観察。繋(つなぎ)や蹄、体型、骨量、筋肉の量・質、関節の柔軟性や、脚元、馬具などのデータを採取。そこから競走馬の能力、適性などに加え脚質も見抜き、馬券を組み立てる。パドック派にありがちな本命予想ではなく、複勝で10倍を超えるような穴馬を見つけるのが得意。

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