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追いつめられたときの切り抜け方

  • 2008年10月01日(水) 11時50分
 追いつめられたときの切り抜け方、これは案外重要だ。その都度きちんとけりをつけておかなくては、心の動きがとれなくなる。

 競馬の様々な場面に人生の縮図を見るとはちょっと大袈裟なかしれないが、以前はよく言ったものだ。そこで、人の営みの中から生まれた知恵を駆使して、追いつめられたときの切り抜け方を工夫してみるのも一興。その知恵、これまた様々なところから受け取ることができるから面白い。

 先日、北京京劇院の訪日公演を見てきた。外国人初の京劇俳優。日本人の石山雄太が、西遊記で孫悟空を演じるというので話題になったが、演目の中に「秋江」というユーモラスなストーリーのものがあり、ここにひとつの知恵をみつけた。

 恋人を追いかけて尼寺を抜け出した若い尼僧が、秋江の川の渡し場にたどり着き、老船頭のこぐ舟に乗せてもらう。不安を隠せない尼僧の様子をうかがいながら老船頭がからかうのだが、19歳だと言う尼僧にわしと同じ年と答える。いぶかしがる尼僧に、本当は79歳だが舟に乗る時秋江の川に60を捨てたから19歳なんだと笑うのだ。

 自分に都合のいいように話を作ってしまう老かいさ、場面を切り換える知恵、これは競馬にも応用が効く。

 折角、人生の縮図のような競馬の中にいるのだから、生きる知恵を駆使して、自在に対応する力を養いたいもの。競馬の中なら、ずっと気楽にやれるではないか。第一、自分を追いつめてばかりしていたのではいいことがある筈がない。楽しく、愉快に、追いつめられそうになったら切り抜ける知恵を発揮する。競馬の中から生まれた知恵が、逆に生き方に応用できることだってありそうだ。

 言ってみれば、競馬と上手くつき合っているうちに、日々の味わいが深まるというものだ。生き抜く達人は、案外、競馬場のその辺にいるかもしれない。老船頭のように。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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