前2回のコラムでは、ツナギと筋肉・骨格による適性の読み方をレクチャーしました。今までパドックと言うとデキとか気配だけを見る所だと思っていた人にとっては、パドックに対して新しい考え方を持ってもらえたのではないかと思います。
馬を見る事に関しては他にもたくさんの項目があるのですが、今回は前2回で勉強したことを実戦で活用するために避けて通れない、「場(シチュエーション)」の把握の仕方をレクチャーさせてもらいます。馬を見る技術ではないのですが、重要なことなので必ず知っておいて欲しい項目です。
まず、「場」には色々なファクターがあります。
・競馬場(コース形態:小回り、坂があるとか)
・距離
・芝、ダート
・馬場の質
→力が要る、軽い
→外伸び、内伸び
→道悪、良馬場
→前残り馬場、差し馬場
他にもたくさんファクターはありますが、主に日常的に競走成績への影響を与えるのはこれらが主なものでしょう。今回は、これらの中でも他の競馬ファンが把握しづらい要素である「馬場の質」について見ていきましょう。
「馬場の質」という考え方を皆さんはご存知でしょうか。最近はタイム理論でよく「馬場差」(標準タイムとの差の平均値)という言葉を聞くかと思いますが、あれは馬場の質を表しているとも言えるでしょう。
芝やダートには、同じ競馬場の同じコースであっても、開催によっては質に違いが出ます。昨日は未勝利戦のダート1200mで1分14秒台の勝ちタイムが主流だったのに、今日は1分12秒台が主流になっているということがあるわけです。これらの勝ちタイムについてはレースのレベルやペースによっても当然違ってくるのですが、馬場の質が変わっているということもよくあるのです。
このような「馬場の質」を見分けるのには、走破タイムというのも有効なファクターですが、先述の通り能力差というファクターが混じっているので、その日の早い段階で馬場の質を見抜くことは難解です。そこで登場するのが「UMAMI」です。
ツナギや骨格、筋肉などの馬体の細部を見ていれば、分かりやすい日には1〜2R見ただけでどんなタイプの馬が好走したかが分かります。例えば、この阪神開催はダートで好走する馬に明白な傾向がありました。この傾向については、初日の1レースと3レースに組まれたダートのレースを見れば良く分かりました。その時の馬場を把握するまでの流れを見ていきましょう。
■9/14 阪神1R ダ1400m 【
レース結果】
1着:メトロノース
父アドマイヤコジーン、母父アフリートという血統だけあって、重心が低く筋肉量の多い体型。脚は若干細めで、ツナギに柔軟性もあるので芝でもこなせるタイプだが、力の要るダートはあっているタイプ。
2着:ピュアシルヴァー
ミスプロ系にしては骨が細い馬が多いスウェプトオーヴァーボードの産駒だが、骨が太めで筋肉量も多いパワータイプ。
これらの2頭は共に好位から抜けてきた。両方ともパワータイプの馬だし、レースを見ると差しも決まりそう。
■9/14 阪神3R ダ1800m 【
レース結果】
1着:バンブーアズーリ
524キロの馬体重の通り、筋骨隆々で明らかにパワータイプ。速い脚は無い。
2着:マイエンブレム
こちらも筋肉量が非常に多いパワータイプ。
これらの速い脚が無いパワータイプ2頭が好走して、逆に軽い造りのシルキーライム(4番人気)などが惨敗したので、この日の馬場は「力の要るダート」に確定。
こういった馬場では、ツナギが立ち気味で太く、骨格がガッチリしていて筋肉量の多い、芝ではスピード不足で好走できないような、明らかにパワータイプの馬が狙い目となります。逆に軽い造りで非力な馬は、この様な馬場では全く用無しです。
このように、同じダートであっても馬場には様々な傾向があり、特定のタイプしか来ない偏った日がよくあります。そういう偏った日に馬券は勝負していきたいですね。今回の馬場に関する基礎知識を踏まえながら、今後のコラムや次走の狙い馬に関するコメントを見て頂くとより理解が深まって、良い馬券が取れるんじゃないかと思います。
【次走の激走馬】
スズカフェニックス (スプリンターズS・4着)
前走はセントウルSに出走。元々それ程筋肉質ではない馬だが、それにしても薄く見えたし、歩様もゴトゴトして状態としては最悪だった。今回も苦戦は必至と見ていたが、パドックで見せた姿は前走の状態が嘘の様な充実したものだった。よくあそこまで立て直したという感じだ。秋の目標はマイルCSになりそうだが、今の充実度なら十分に勝ち負けできそうだ。
ラズベリータイム (秋風S・4着)
薄くて切れのあるタイプのフジキセキ産駒。今回は休み明けだったが、余分な脂肪が付きにくいタイプのようで、仕上がりは良かった。腰の角度が若干甘く、また非力なところがあるので、直線の坂に入ったところで若干ヨレてしまったのが敗因だろう。今週から東京に開催が変わるし、中山コースよりも断然適性が高いコースなので、次走は順調に使えれば期待できる。
マルカゼウス (ききょうS・10着)
デビュー戦ではパドックの最内をトボトボ歩いて、止まりそうなぐらい気配の悪かった馬が、使うごとにやる気を出してきて、今回なんかは一番外を小気味よく歩いていた。それに伴って馬体も良くなっているし、能力的にはこのクラスでも十分通用するはず。非力なところがあるので、直線平坦コースの1200m辺りに出走してきたら勝負を掛けたい。
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