競走馬の適性を把握する上で最も簡単な方法は、血統による傾向を調べることでしょう。競馬は遺伝のスポーツであり、競走馬の能力・適性の3分の1くらいは血統で決まると言っても良いでしょう。近年ではサンデーサイレンスの系統が日本競馬を席巻していますが、これはこの系統の体の造りや筋肉などが日本の馬場に対して総合的に適性が高いからです。
しかし、血統を見るだけではある程度の傾向をつかめても、その馬がその場で走るかどうかは分かりません。血統を考えていく上で必ず把握しておかなければならないのは、字面の血統を見るだけではその馬自信の個体を把握することはできないという事です。
血統はあくまで「傾向」なのです。
しかし、この血統から見る傾向というのは、馬を見ていく上でかなり重要な要素なのです。
「この父の産駒で、この馬体構造なら芝のこのくらいの距離に適性があって、将来的には準オープンくらいまではいけそう」
といった感じで、適性や能力を推測することができます。
これができることで、まだ走ったことのない新馬戦や、まだ使われたことのない条件への条件替わりですら、走る前に適性や力関係を把握することができるのです。
今回はこの血統傾向について、まだ産駒の傾向がはっきりと分かりづらい新種牡馬ネオユニヴァースの産駒についてその傾向を見ていきましょう。
◆ネオユニヴァース
早速ロジユニヴァースが札幌2歳Sで優勝し、重賞タイトルを獲ったのですが、ネオユニヴァース産駒の典型的な形はこの馬に出ていると言えるでしょう。ネオユニヴァース産駒は、ネオ自身に似た細い骨格のタイプと、全く正反対のゴツイ体付きの馬と極端にタイプが分かれる傾向にあります。その中でも、走ってくるタイプはロジユニヴァースのように骨が細くて一見華奢に見えるタイプです。
全体的な傾向としては、ネオユニヴァース自身もそうでしたが、腰が甘い傾向にあるサンデーサイレンスの系統産駒としては珍しい腰高(後肢の方が極端に長く見える)のタイプが多く、その分阪神や中山などの坂のあるコースでも活躍できます。また、柔軟性が優れていて、サンデー系の良い筋肉を受け継いでいるので、瞬発力勝負でも引けをとりません。京都や東京の様な時計の早いコースにも対応できるので、特定の競馬場で強いというタイプではなく、どのコースでも万能的にこなせるでしょう。
成長力に関しては、ネオユニヴァース自身は「使いながら強くなってきた」タイプなので、早い段階での重賞ホースが出ましたが、決して早熟のタイプではありませんし、使いながらどんどん良くなってくる馬が多いでしょう。
現状の弱点は特に見当たりませんが、強いて言えば多少ツナギが立った馬が多く、骨も細めなのでソエなどが出やすいかもしれないと言うことです。新馬戦で優秀なパフォーマンスを見せていたとしても、骨が細くてツナギが立っているタイプの場合は、次走でソエが出ていないかどうか確認が必要です。
以上が現状で把握できるネオユニヴァースの傾向です。
まとめると、特に偏った適性傾向がなさそうな万能型なので、どのコースのものであれレース内容を素直に評価できますし、前走で好走した馬を素直に上位評価すると馬券的には良い結果が得られると思います。
【次走の注目馬】
メイショウアツヒメ(2歳新馬2着)
トモが物凄く大きくて、とても牝馬には見えないぐらいのボリューム感。まるで外国馬の様な馬だ。兄メイショウボーラーもボリュームのあった馬だが、それと比べても引けを取らない体付きをしている。ただ、兄よりも距離適性は短いところにあり、マイルもこなせるのはこなせるが、最終的にはスプリント戦で活躍する馬になりそうだ。また、多少手先が硬くてコトコトした走りなので、ダートの方が合いそう。ダートの1200mなどに使ってくれば安くても大勝負だ。
リーティラ(りんどう賞4着)
クロフネ産駒にしては手先が軽いし、それでいて上体の筋肉がしっかりと付いているなかなか良い馬。今回はまだ絞れる体付きだったし、その辺りが終いの伸びを欠いた原因の一つだろう。絞れてくれば確実に走ってくるし、距離もマイルぐらいまではこなせるはず。来年の春にはクラシック路線に乗っていそうだし、絞れての巻き返しに期待したい。
スマートリーズン(古馬1000万下3着)
地方でしか実績がないので人気にならなかったが、柔らかさがあるし、運動神経も良いなかなかの馬。今回はかなり速いペースになったが、3角でちゃんと息を入れることができたし、最後は差されたが内容はかなり評価できるものだった。まだ体に余裕があったし、次走同じような条件ならもちろんのこと、芝の短距離でも勝ち負けは必至だ。
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