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のらくら者に光は差すか

  • 2008年10月28日(火) 23時00分
 のらくら者の言い抜け、これは競馬は便利だ。さらに想を練り、案を構えている最中なのだから、そう慌てるなとかわせばいいのだ。もっと苦しくなったら、沈黙は金を押し通し、次の機運を伺えばいい。機未だ熟さずと己に言い聞かせるぐらいの気分があれば、それはそれで先の光明を見い出す間合いになる。実は、この間合いが大切なのだ。

 先日の菊花賞に例をとると、こんな風になっていく。

 まともに取り組んでは闇夜に入り込むようなものだから、一度に結論を出すようなことはしない。そのうち、周囲のささやきが耳に入ってくる。あれはこだ、これはああだとそれぞれの知恵をふりしぼった観測、よく耳を澄まして聞くと、大半が希望的なもの、しっくりこない。もっと画期的な発想はないのか。しかし、それ以上追求はしない。いい風が吹いてくるのを待つのだが、そうであってもスポーツ紙上の関連記事には目を通す。

 そのうちに週末が迫ってくる。

 これまでの菊花賞でどんなことがあったかと、ふと、そこに思いが移っていく。急いで結論を引き出そうとは考えていない。ごく自然になのだ。このレースのどこが魅力と思うかと自問してみたとき、血統が頭に浮かび、必ずしもステイヤー血統ばかりの場ではなかったことを思い出す。プレストウコウを知っているだろうか。短距離馬グスタフの子だった。ハイセイコーが敗れたとはいえタケホープにハナ差まで迫ったときにも、必ずしも血統ばかりではないと思った。菊花賞には切れ味がもとめられる。スピードもだ。しかし、まだピンと来ない。武豊が初めて菊花賞を勝った馬、スーパークリークだ。長距離向きの血はとそこに思いが移ったとき、幸運にもリアルシャダイの文字が目にとび込んできた。

 母の父リアルシャダイ、そうだフローテーションがそれではないか。結論を急がないのらくら者に、かくして光が差したのだった。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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