競馬の日には人の心が派手になる。誰とでも友達になれてしまうから面白い。しかし、話が弾むほど一生懸命になるから、いいことがあればともかくも、大抵は打ちのめされるので捨てられた気分で終わる方が多い。これだけ奉仕したのにつれないではないか、その寂廖感。実は、それをも楽しむことがあるのだから、趣味とは恐ろしい。
その恐ろしい競馬に取りつかれた痛んだ心を癒してくれるのが、競馬のエンターテインメントという側面だ。オグリキャップにジョッキーマスターズ、先日の東京競馬場は邪気のない顔、顔、顔に溢れていた。みんな等しく心浮き浮き、朝からその瞬間を待ちのぞんでいた。そして、至福のひととき。オグリキャップで一体何があったのかというのではない。
みんなが一緒になっていたではないか、あの時もそして今も。全てのレースでオグリキャップの馬券を買ったのではなかったが、そんな些細なことはどうでもよく、あのオグリが今ここにいるのだという感慨に耽ることで、見捨てられてはいないのだと実感できる。
ジョッキーマスターズの勝負服にも、心揺さぶられた。特に今回は外国からの参加があったから、尚更だった。ランドやホーリックス、異国の勝負服は競馬博物館でしか見ることはないと思っていたのが、目の前を疾走していくのだから。特にホーリックスの記憶は鮮やかだったから、ついでに2分22秒2の勝ちタイムが間違いではないかと、レース実況の時に思ったその瞬間まで蘇った。オグリキャップとのゴール前の死闘。たまたま、今はなくなったミニFMの放送席で、あの時、ジャパンCの架空実況放送をしたのだ。
どうゴールさせようとは考えず、ただひたすらレースを作ってしゃべっていたら、この2頭がゴールで競り合ったまま入っていた。そしてその1時間後、全く同じ結果に。
競馬場のイベントでこれ以上のものはないと、みんなが感じたのではないか。
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