前回のコラムでは、開催替わりで穴が開くパターンについて書きましたが、先週の阪神コースのダートを見ると、目論見通り力の要る状態でした。ただ、前回の開催の時でもそうでしたが、時計はそれほど遅くないのが特徴です。時計だけを見て、馬場の質が軽いと判断してしまうと、逆目ばかりになって失敗する競馬でしたね。
また、先週は土曜日が重、日曜日が稍重での開催でした。ここからの3週間で、晴れて良馬場でやれるようなら、もっとパワータイプの好走が顕著になると思います。毎週の競馬で、今日はどんなタイプの馬が好走しているのか、キッチリと観察していれば思わぬ高配当をゲットすることもできますよ。
例を挙げておくと、土曜1Rの
ユーセイヤマトオー、2Rの
マイネルカルツェ、12Rの
クリーン、日曜1Rの
シルバービート、11Rの
カネヒキリなどはパワーがあって、あまり速い脚がないタイプです。これらのように、京都ではスピード不足で届かなかったような馬が、今の阪神では逆に好走します。これらの馬を見つけるには、筋力の強さを重視して見ていけば良いでしょう。筋力の強さは、パドックでの後肢の蹴りの強さ(力感)を見れば分かります。
☆縦の比較と横の比較
さて、先週はJCDが行われました。個人的にかなり楽しみにしていたレースでしたが、会心と言って良い馬券を獲ることができました。
ここでのポイントは、パドックでカネヒキリに本命を打てたことだと思います(パドック情報は古澤秀和の競馬予想サイトで提供。※URLはコラム下部を参照)。カネヒキリは2年以上、屈腱炎で休んでいた馬で、休み明けの武蔵野Sでは惨敗を喫していました。そのような馬に何故自信の本命を打てたか。それは「縦の比較」ができたからです。
競馬には基本的に「縦の比較」と「横の比較」という考え方があります。横の比較は、その時の出走メンバー同士の比較ですね。逆に縦の比較というのはその馬自身の前走や過去の良い時、悪い時との比較です。パドックで言えば、前走は太かった馬が今回絞れているとか、前走はイレ込みが目立った馬が今回は落ち着いているとか、そういった比較のことです。
今回、このカネヒキリに本命を打った理由は「縦の比較」ですが、縦の比較はそれだけで使うものではなくて、縦の比較をしてから横の比較をしなければならないのです。この場合、
・屈腱炎で休む前はダートG1・4勝と断然の1番人気であるヴァーミリアンと遜色のない実績を残していた。
・前走は2年以上の休み明けで馬体に良いときの張りがなく、レースも内で詰まって全く競馬にならなかった。
・今回はグンと体調がアップし、筋肉は張り詰め、毛ヅヤもピカピカ。パドックでもラチいっぱいを回って良い時と遜色のない気配を見せていた。
・良い時の状態にあるなら、実績上ヴァーミリアンとも互角に戦えるはず。配当の妙味を考えればここから入るのが賢明。
というような思考の流れで、◎カネヒキリという結論を導き出しました。
私の場合は、自分の中の各馬の能力に対する感覚を重視しているので使いませんが、物差しが欲しい人はスピード指数などと絡めても良いかと思います。数字の1や2の違いに意味があるとは思いませんが、物差しとして活用するなら良いと思います。
今回のカネヒキリとヴァーミリアンなら、良い時のカネヒキリの指数とヴァーミリアンの指数を比較して、その時のデキと今回のデキを比べて上下付けするわけです。今回は、カネヒキリが良い時と遜色のないデキで、ヴァーミリアンは若干太くて緩く映ったので、カネヒキリの指数をそのままにして、ヴァーミリアンの指数を割引して考えるわけです。それとオッズを絡めれば、買うべき馬券が見えてくると思います。
縦の比較は、過去のレースの馬を覚えておく必要があるので、結構地道に競馬場で馬を見ないとなかなか難しいと思います。ただ、最近ではG1レースの際にはモニターで過去のパドックとの比較をやっているので、それを参考にするのも良いと思います。
あと、最初のうちは動いている馬だと難しいかもしれないので、競馬週刊誌のフォトパドックの写真などを参考にするのも良いでしょう。ネットでバックナンバーも公開しているので、1頭の馬を時系列で見て、その時々の仕上がり具合とレース振りを見ていけばポイントがつかめるようになると思いますよ。
【次走の激走馬候補】
グローリーソング(障害未勝利・7着)
障害初戦だったが、トモの肉付きが良くて、歩様を見ても素軽くて運動神経が良さそうな馬。障害が向いているタイプの馬だ。最終障害くらいまで良い感じで飛んでいたが、初障害の分か伸び切れずに最後は力尽てしまった。ただ、内容は良かったので、次走はほぼ勝てると思う。
シャトルタテヤマ(ゴールデンサドルT・5着)
馬体はボリューム感が出て非常に良くなっている。好発を切りながら控えて中途半端なレースになってしまった。このクラスでは確実に力上位だし、距離もこのくらいなら問題ない。ただ、直線の坂は脚質的に若干堪えそう。直線が平坦のコースに変われば巻き返せるはず。
ユメヲカナエル(2歳未勝利・6着)
8月の小倉以来の出走で、パドックで見せた馬体は明らかに余裕残しの仕上げ。ただ、トモの量はあって、先行力がありそうな体付き。その見た目通り、レースでもスッとハナを切ったが、太め残りの分坂で息切れして止まってしまった。絞れればもっとやれるし、このクラスはすぐに勝ち負けになりそうだ。
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