あることを繰り返し続けるうちに、ひとつの心境に到達することがあると、よく言われる。もしかしたら、そうなることを願って生きているのかもしれない。
人は、本来は無一物なのだから、雲に漂うように自由に気ままに生きるのがいいとも言うことがある。どれもが真実と思うのだが、どちらもそんなに簡単でもない。そういう静かな深い思いが、本当に自分の中に湧いてくるのだろうか。一切の煩悩を離れて生きることの難しさ、それを知っているからこそ、懸命に心のバランスを取ろうとしているのではないか。
こうした生きるということを競馬に置き換えてみたらどうだろう。意外に、見えてくるものがあるように思う。
長く競馬をやり続けていくうちにやってくる心境。そこには、立派な生きる哲学が内蔵されている。馬券を買うことをひとつの修行として考えてみると、結果にとらわれない自由な境地に到達できるように思えるからだ。
人は、本来は無一物でその思いは無尽蔵なのだから、欲がどんなにあろうとも、それはそれで気に病むこともないのだ、そうあることが普通で、深く追求することもない。修行は繰り返し同じことをやり続けることでもあるから、たとえ欲から始まった競馬であっても、これも修行だと言える。ここから生まれるひとつの心境、これは生きることにもつなげてみることができる。そう気がついたとき、一切の煩悩を離れた境地が見えてくるのではないか。
かく述べるのは、自分自身に言い聞かせなくてはという反省があるからで、雲に漂うような自由で気ままな境地になれたらという願望があるのも否めない。それでも、以前よりも静かな深い思いには慣れてきた。これは嬉しいことで、この心境のまま、有馬記念に立ち向かってみることができたらと、自由な発想が訪れるのを心待ちにしてみよう。
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