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本来あるべき姿を

  • 2009年01月06日(火) 23時00分
 その可憐な姿に加え、香りの良さで、寒さの中にも爽やかさを与えてくれる水仙。寒い時期の植物の水仙は、温かい場所では花が開くのが早く、数日のうちに散ってしまう。だから、長くゆっくり楽しむには、なるべく寒い場所で育てるのがいいと好きな人は知っている。つぼみが出てくると、早く咲かないようにと願うのだ。

 そして、花が咲くと、もう終わってしまうと少し寂しくなる。

 しかし、葉をのばし、花を咲かせるのが水仙の本来の姿で、寒い場所であろうと温かい場所であろうと、それに合った生き方をしているにすぎないのだ。

 このように、本来あるべき姿を尊いものとして見ないこと、競馬の中にもあるとうに思えてならない。競馬は、何にも増してこうあってほしいという人の欲が出るもので、その願いの為に、逆にふり回されていることが多い。思い通りにならない、どうしたものかと、策を仕掛けるのはいつも人間の方。ところが、馬には馬本来のあるべき姿が、それぞれにあって、どう成長していくかは、馬によって異なっているのだ。まして、2歳から3歳を迎えたこの時期、ゆっくり成長を促してほしいという馬は多い。

 大きな目標に向かって、どこでどう我慢して馬に力がつくのを待つか。たった一回でも無理をさせると、それが決定的なダメージになってしまうこと、これまでにも数多くあったのだ。それぞれの馬たちの、それぞれの本来の姿を大切に思い、少しずつでも花を咲かせようとしていく過程を、とても尊いものと、愛して思えるように、そんな見つめ方をしていきたい。

 あの水仙の花言葉のひとつに「我欲」という言葉がある。自分勝手のこちらの顔に、水仙は、この「我欲」という言葉をその姿の中に見せている。よくぞそこまでと、水仙にも馬にも思える心境でありたい。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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