昨年11月20日に道営ホッカイドウ競馬が終了してから2か月が経過した。今年春の開幕へ向けて、その後、新スタンド建設工事とナイター開催のための照明設備新設工事がどの程度進んでいるのかを「確認」したくなり、先日、門別競馬場を訪れた。
警備員の常駐する正門から入るや否や、夥しい数の工事車両と作業員が行き来する光景に出くわした。ちょうど、1〜2コーナーにかけてのあたりは工事関係者用のプレハブが建ち並び、馬場を一望できる駐車場に立つと、思った以上に工事が大々的に行なわれていることが実感できる。
競馬場管理事務所・業務課長の尾野栄俊氏に工事の進捗状況について伺ったところ「約40%」との答えが返ってきた。一周1600mある本馬場の周囲には、すでに照明器具設置のための柱がすべて立てられており、現在は順番にライトを備え付ける工事の真っ最中だという。
「まず、下で溶接などして照明器具を組んでしまってから、作業用クレーンで持ち上げて柱の上部に固定します」と尾野氏より説明を受けた。
「柱は高さ19mあり、地中部分にも6m埋設されています。これを全部立てるだけでもかなりの時間がかかりました。照明の明るさですか? そうです、大井競馬場と同程度のものになりますね」(尾野氏)
実はナイター化により明るくしなければならないのは、レースが行なわれる走路だけではなく、厩舎地区やファンの滞留するパドックなど、かなり広範囲に及ぶのだという。
「今年は5月中旬くらいから開催の終わる11月まで全ての期間をナイターで実施する計画です。したがって、照明設備は馬と人間の移動する範囲全てに必要になります。大工事ですよ」(尾野氏)
一方、新設されるスタンドは既設スタンド横にすでに基礎工事を終えている。ちょうど私が訪れた日には、大型トラック2台で足場を組むための材料を運び入れ現場に下ろしている最中であった。基礎部分の上に建設されるスタンド建設用の足場である。また、新スタンド裏に移動する予定のパドック用地も確保されていた。
新スタンドは、既設スタンドから見て4コーナー方向の隣に建設される。午前中から多くの作業員が働いているのが遠くから見えた。ただしここでは例年と変わらず、2歳馬を中心にした調教が毎日行なわれている。
調教時間は8時より12時までと決められており、クレーンやユンボなどの大型機械が稼動するのは午後に限定されているらしい。調教に支障をきたすことなく工事も進めなければならないのだから大変である。
さて、尾野氏によれば「現在2歳馬だけで530頭程度は入厩しており、古馬と合わせて約700頭程度が在厩している」らしい。道営競馬が「産地競馬」と言われる所以はこの辺にあり、もちろん530頭全てがここからデビューするわけではない(現実問題として育成牧場代わりにここを利用する馬主や生産者も少なくない)が、新馬の割合が他の地方競馬と比較すると断然高く、実質的に中央競馬を含めた他場への「2歳馬供給基地」としての役割が大きいのである。
ただ、データの少ない2歳戦中心のレース編成とならざるを得ないことが逆に勝ち馬検討を難しいものにしている面は否定できず、それがひいては馬券売り上げ全体にもマイナスに作用していたのは事実である。
しかし、たとえ道営競馬の運営母体が今春より日高管内を中心とした行政や農協などで組織される「北海道軽種馬振興公社」に移管されたところで、在厩馬全体に占める2歳馬の割合はおそらく今後も変わることはなかろう。産地に唯一の競馬場として、門別は2歳戦中心の番組を売りにして前に進む以外に道はなく、そこに道営の道営たる存在意義がある。
昨年秋、これまで道営競馬の場外として利用されていたウインズ釧路と室蘭から新年度より撤退することが明らかになった。いずれこれらの両市にはミニ場外などを新設することになるだろうが、当面最大限に優先させなければならないのは「いかに馬券売り上げを増やすか」である。
報償費などの経費削減を続けることで収支均衡を図っても、結局のところ競馬自体の衰退にしか繋がらないのは各地の地方競馬に腐るほど前例がある。新公社に名を連ねるお歴々は、いずれも新生道営競馬の発展のため、知識と経験を高く評価されてのこととお見受けする。ぜひ、起死回生の秘策を捻り出して欲しいと切望するばかりだ。
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