真実は一つ、正解は一つとは言っても、競馬の場合は、自分に都合よく思い込んでいるのだから、そうならないことの方が多い。何が真実なのかと考えても、自分の見ていること、記憶していることが優先されるから、甚だ不確実。それなのにレースの前は威勢がいい。
競馬は、こうした「根拠に乏しい自信」から成り立っているから、面白い。聞いてもいないのに予想してくれたり、自分のうんちくを傾けたりと、それぞれが意欲的なのだが、耳にタコ状態になると、「面従腹背」、表面は聞いているようでも内心はそうでない、非常に性悪になっていく。これもお互いさまなのだからいいのだが、人間はどうしてそう言いたがるのか。
脳科学者の茂木健一郎さんによると、人間の脳は、本来物事を楽観的に考えるようにできていて、そうでないと脳の回路がうまく働かないそうだ。悲観的だと、脳の働きがダウンし、うつ状態になるから、うまく生き抜くには楽観的であれということだ。
その点、競馬はいい。「根拠に乏しい自信」を持って、いくらでも予想を立てて夢を見ることができる。常に、楽観的にしていられるから、脳の回路はよく働いてくれる。どこまで続くかは別問題なのだが、脳を活かすには、競馬はいいのだ。
よく競馬ファンは、儲かった話ばかりすると、やらない人間から言われるが、それとて脳のためにはいいことなのだ。かつてレースに感動した、いい思いをしたという記憶こそ、自分に大きな力を与えてくれるエネルギーになる。どうしようかと迷った時に、よい選択ができるし、そうした確信できるものをいくつも持てることで、柔軟に対応する力がついてくるのだ。
とにかく、根拠に乏しくとも自信を持って対処することで、脳に楽観的な栄養を与えられるのだから、競馬に愚痴は不似合いだ。
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